【スーパーフォーミュラ】韓国人選手3名、参戦オーディションで富士を疾走

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左からキム・ドンウン、チェ・ヘミン、ジョン・イチョルの各選手。
左からキム・ドンウン、チェ・ヘミン、ジョン・イチョルの各選手。 全 12 枚 拡大写真

韓国の新サーキット「インジェ」での今季第5戦開催が決まった「全日本選手権スーパーフォーミュラ」(SF)。インジェ戦には韓国人選手のスポット参戦計画もあり、7日、富士スピードウェイで候補選手3名のオーディション走行が実施された。

時季的なことを考えれば、寒さもほどほどのレベルにとどまり、曇天気味ながらもドライコンディションに恵まれたこの日の富士。用意されたマシンはSF13(旧名:FN09)ではなく、全日本F3-Nクラスの車両だが、昨季も走っていた“現役マシン”であり、SF&F3参戦チームのKCMG(監督:土居隆二氏)がオペレーションを担当。参加3選手は交代で、各30分の時間をタイヤ1セット走りきりという設定で走行に臨んだ。これをシリーズ運営団体JRPの白井裕社長、アドバイザー役の関谷正徳氏(トムスチーム及びトヨタ系選手育成計画の首脳、1995年ル・マン24時間総合優勝ドライバー)、そしてそれぞれ十数名規模のインジェ側関係者や韓国マスコミ、さらには韓国のJAFに相当する組織「KARA」の監督官らが見守るという、緊張感ある環境でのオーディションとなった。

最初に走行したのは29歳のチェ・ヘミン。アメリカでインディカーの下部シリーズに参戦した経験等をもつドライバーだが、富士での走行は初めて。10分ほどを残してスピンにより走行を終えるかたちにはなったが、そこまでのタイムの上がり方は順調なものに見えた。走行後、本人は「短い時間とはいえ、もっと有効に時間を使えれば良かった。(自己採点的には)70点くらいだったと思う」とコメント。ベストタイムは1分42秒730。

続いての挑戦者は26歳のジョン・イチョル。富士の走行経験はあるものの、フォーミュラカーでの走行が5年ぶりというイチョルは、シートベルトがゆるんで急遽ピットインするなどしつつも、30分を走りきった。「久しぶりのフォーミュラなので首が痛くなった。でも、やっぱりフォーミュラで走るのは楽しい。F3は初めてだったが、ダウンフォースが強く、コーナリングスピードをかなり上げられることに驚いた」とのインプレッションで、ベストは1分43秒550。

最後に走ったのは21歳のキム・ドンウン。彼も富士での走行経験者で、かつてはFTRS(フォーミュラトヨタレーシングスクール)で関谷氏に師事したこともあるのだが、「当時は力不足だった」ことを自認するだけに、その後の成長度を見せる意味でも絶好の機会となった。そのドンウンはベスト1分40秒484で、3選手中のトップタイムを記録し、「初めてのF3マシンで、以前に日本で乗ったF4などでは経験したことのない強いGを感じた。(身体的に)もっと鍛えなければならないところがあることが分かった」とのコメントを残している。

この日は全日本F3-Nクラスに参戦する別のチームもテストを行なっており、そちらではF3経験者やFCJ(フォーミュラチャレンジ・ジャパン)の上位ランカーが乗って1分38〜39秒が出ていた模様。テスト走行なので一概に比較はできないものの、ドンウンのタイムはまずまずの水準にあったと言えよう。オーディション走行の陣頭指揮を執ったKCMGのエンジニアも「(F3での走行に関しては)3人とも問題ないと思います」との実感を語っている。

オーディションの結果はすぐには出ないようだが、JRPの白井社長は非公式談話のなかで「今回のスポット参戦計画は基本的には(大会PRを主目的に)インジェ側が主導して進めるものであり、実現すれば、日本の既存チームが手助けするかたちになると思う。参戦選手は1名」との旨を話している。SFをアジア最高峰シリーズとして確立するために、まずは様々なスポーツで良きライバル関係にある韓国と一緒にムーブメントを起こしたい日本側と、5月グランドオープンのインジェ・オートピアを様々な意味で盛り上げていきたい韓国側、双方の協力によって実現が期待される地元選ドライバーのスポット参戦。インジェ戦成功のカギを握るファクターともなるだけに、今後の推移を注視していきたい。

インジェの1周約4kmのコースは「日本のサーキットで言うならオートポリス的」と白井社長は言う。中高速コーナーが連続するテクニカルコースとして知られるオートポリス(大分県)に近い雰囲気で、さらには「けっこうな上り勾配もあるので、パワーも求められると思いますよ」とのこと。F1に準ずるハイパフォーマンスを誇る現行マシン、SF13の真価が存分に発揮される舞台となりそうだ。

SF第5戦インジェは8月24〜25日に開催される。

《遠藤俊幸》

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