東海道新幹線6年ぶりの新型車両N700A、その実力は?

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東海道新幹線 N700A
東海道新幹線 N700A 全 4 枚 拡大写真

JR東海は2月8日、東海道新幹線では6年ぶりの新型車両となるN700系1000番台(N700A)の運転を開始した。当日は東京発7時の新大阪行き『のぞみ203号』と、新大阪発7時の東京行き『のぞみ208号』でN700Aを使用。東京駅と新大阪駅では出発式が行われた。

N700Aの「A」は、「進歩」を意味する「Advance」の略。N700系の従来型である0・3000番台をベースに、愛知県小牧市のJR東海技術開発部(小牧研究施設)が開発した技術が導入されている。

JR東海は2004年の新潟県中越地震を機に、より短い距離で停止できるブレーキの開発を進めてきた。N700Aはブレーキディスクを内周締結方式から中央締結方式に変更し、これによりブレーキ距離を従来より約1~2割短縮している。また、台車振動検知システムを搭載して台車の状態を常に監視。台車には振動センサーが装備されており、故障が検知されると運転台に表示され、信頼性の向上が図られている。

N700Aには定速走行装置も導入された。東海道新幹線の最高速度は270km/hで、自動列車制御装置(ATC)が270km/hを越えないよう自動的にブレーキをかけて速度を調整しているが、定速走行装置を使用することで270km/hに近い速度を自動で維持することが可能となり、より安定した運転を実現できるようになった。

車体外観や車内設備は従来のN700系とほぼ同じだが、編成の奇数号車側面に「N700A」のシンボルマークを配置し、座席生地のデザインも変更。グリーン車は従来の茶色をベースにした生地を霞(かすみ)模様に織り、普通車は青色ベースの生地を流れ模様に織っている。トイレや洗面室の照明には発光ダイオード(LED)を採用し、車内の照明電力を従来型N700系に比べ約20%削減している。

JR東海は今年度中に16両編成6本、2013年度中に7本のN700Aを導入する予定。ダイヤ改正が実施される3月16日以降はJR西日本が運営する山陽新幹線でも運転される予定だが、当面はJR東海所有車のみが乗り入れ、定速走行装置は山陽新幹線内では使用しない。JR西日本がN700Aを導入するのは12月ごろになる予定。

従来型のN700系と共通で運用されるため、N700Aで運転される列車は固定していない。JR東海は東海道新幹線の各駅かJR東海テレフォンセンターで、当日のN700A運行列車の問い合わせを受けるとしている。

《草町義和》

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