バンコク都知事選、タクシン派候補優勢で終盤戦へ

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スクムパン氏(写真中央左)
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【タイ】3月3日投票のバンコク都知事選は各種世論調査でタクシン元首相派与党プアタイが擁立したポンサパット・ポンジャルーン前麻薬取締委員会事務局長兼警察副長官(57)がじりじりとリードを広げ、野党民主党公認で2期目を目指すスクムパン・ボリパット前都知事(60)は苦戦している。

 バンコクの有権者を対象にした調査で、両候補の支持率は、私立アサンプション大学(ABAC)が15―18日に実施した調査(回答者2498人)でポンサパット氏46・6%、スクムパン氏29・9%、「決めていない」7・4%。タイ国立ラチャパット大学スワンドゥシット校が14―17日に実施した調査(回答者4393人)でポンサパット氏46・7%、スクムパン氏33%、「決めていない」12・7%だった。

 ただ、タイ国立開発行政研究院(NIDA)が18、19日に実施した調査(回答者1485人)ではポンサパット氏26・8%、スクムパン氏25・9%、「決めていない」36・8%と、接戦という結果が出た。

 スクムパン氏は2009年1月に行われた前回の都知事選で93・5万票を獲得し、61・2万票だったプアタイのユラナン氏(俳優、歌手)、33・5万票だった無所属で王族のナタコン氏(テレビキャスター)らを破り、当選した。本人は早くから2期目挑戦を公言していたが、民主党内から、スクムパン氏は行動力やはつらつさに欠け、バンコクの中間層の共感を得にくいという指摘があり、候補者選びは最後までもつれた。今回の選挙戦はこうした不安が的中した形だ。民主党は南部とバンコクが地盤で、都知事選での敗戦は痛手となる。

 一方のプアタイは都知事選に勝てばバンコクの中間層の支持を取り戻した形となり、インラク政権の政権運営に弾みが付きそうだ。タイのメディアは国外逃亡中のタクシン元首相(63)への恩赦、帰国の道筋がつく可能性があるとも予想している。

 バンコク都知事は任期4年。都庁幹部の月給は知事11万3560バーツ、副知事9万320バーツ。タイの77都県中、県知事が公選制なのはバンコクだけで、残る76県の知事は内務省から派遣される官僚だ。

〈スクムパン・ボリパット〉
1952年生まれ。タイの王族で、チュラロンコン大王のひ孫にあたる。英オックスフォード大学で政治学、経済学の学位を、米ジョージタウン大学で国際関係学の修士号を取得。チュラロンコン大学准教授、チャーチャーイ首相顧問(1988―1989年)などを経て、1997―2001年、チュワン民主党政権で副外相を務めた。2009―2013年、バンコク都知事。
スクムパン氏(写真中央左)

〈ポンサパット・ポンジャルーン〉
1955年、タイ東部ジャンタブリ県生まれ。タイ士官候補生学校卒、タイ警察士官学校を優秀な成績で卒業して、米国に国費留学し、アラバマ大学で修士号、サム・ヒューストン州立大学で哲学の博士号を取得した。帰国後、警察に勤務し、2011年に麻薬取締委員会事務局長兼警察副長官に就任。士官学校卒業後、国費でサム・ヒューストン州立大学に留学という経歴はタクシン元首相と同じ。
ポンサパット氏

《編集部》

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