【メルセデスベンツ CLS 試乗】乗降性に難はあるが、豪快な走りは魅力…松下宏

試乗記 輸入車
メルセデス・ベンツCLSシューティングブレーク
メルセデス・ベンツCLSシューティングブレーク 全 25 枚 拡大写真

メルセデスベンツ『CLS』といえば、『Eクラス』のプラットホームをベースに4ドアなのにクーペ風のデザインをまとって登場し、大人気を博したクルマだ。現在は2011年に発売された2代目モデルになったが、その2代目CLSをベースに、シューティングブレークが設定された。

シューティングブレークとは、イギリスで貴族が狩猟に出かけるときに使うのに適したラゲッジスペースを持つクルマを称する言葉。オーソドックスなセダンではなく、4ドアクーペがベースだからこそ、シューティングブレークなのだという。

CLSシューティングブレークには、V型8気筒エンジンを搭載した「CLS550 4MATICブルーエフィシェンシー・シューティングブレーク」と、「CLS63 AMGシューティングブレーク」の2台に試乗した。

外観デザインはCLSのルーフをなだらかに後方に伸ばしたもの。CLS以上に伸び伸びとしたおおらかなデザインになった。長いルーフによって後部に大きなラゲッジスペースを確保するとどもに、乗車定員もCLSの4人乗りに対してシューティングブレークは5人乗りになった。ルーフを伸ばしたことでヘッドクリアランスを確保しやすくなったからだ。

とはいえ、後席のドアの開口部は小さく、CLSと同様に後席への乗降性は良くない。全長が5mに近く、全幅も1880mmに達するボディのクルマとは思えないくらいに乗り降りがしにくいのだ。乗ってしまえば居住空間はまずまずだが、それも4人まで。5人が乗ったら余裕の空間とは言えなくなる。

ボディが大きいのでラゲッジスペースの容量はたっぷりと確保されている。実用的なステーションワゴンのようなわけにはいかないが、前後方向に長い荷室空間なのでかなりの量の荷物が積める。試乗したCLS63AMGにはデジーノのウッドフロアが装着されていたが、これは50万円もするオプションだ。

動力性能に関してはどちらも十分というか、過剰と言えるくらいの実力を持つ。CLS550は4WD車で車両重量が2トンを超えるが、V型8気筒4.7リッターの直噴+ツインターボ仕様エンジンが生む300kW/600Nmのパワー&トルクがあれば、走りは余裕十分である。重量ボディをぐいぐい押し出す加速感が楽しめる。

CLS63AMGは、V型8気筒5.5リッターの直噴仕様エンジンにツインターボが装着されていて、386kW/700Nmという圧倒的なパワー&トルクを発生する。その走りは正に豪快そのものといった感じだ。

トランスミッションは通常の7速ATではなく、AMGスピードシフトMCTと呼ぶダイレクト感のある専用仕様が設定されている。変速ショックはやや大きくなるが、確かな変速感覚はいかにもスポーツモデルらしいものだ。

足回りはかなり硬めの味付けだが、AMGは電子制御サスペンションの採用で、乗り心地にも一定程度に配慮されている。むしろCLS550のほうが硬めに感じられたくらいだ。

今回は試乗の機会がなかったベースグレードのCLS350でも1000万円近い価格なので、簡単に買えるクルマではないが、この価格帯のクルマを買えるユーザーには、CLSにするかCLSシューティングブレークにするかで大いに悩むのではないか。対応するグレードの価格差はわずか25万円(CLS550シューティングは4WDなので50万円高)でしかないので、買うならこちらという感じだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「変形ロボじゃん」可変カウル装備の新型BMW『R 1300 RT』にファン驚愕
  2. 日産『テラノ』が4年ぶり復活!? ブランド初のPHEVクロスオーバーSUV
  3. 「日本仕様もこのままで!」“2つの顔”を持つ新型トヨタ『カローラクロス』にSNS興奮
  4. 自動車7社決算分析、「稼ぐ力」首位はスズキの11%、2位トヨタを上回る[新聞ウォッチ]
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  2. VWと米ウーバーが提携、『ID. Buzz』の自動運転車を運行へ
  3. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  4. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  5. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
ランキングをもっと見る