【新型 クラウン ハイブリッド 試乗】エコドライブでの実用燃費は21.5km/リットル

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トヨタ・クラウン ハイブリッド
トヨタ・クラウン ハイブリッド 全 12 枚 拡大写真

トヨタ自動車のプレステージサルーン『クラウン』。昨年12月に発表された14代目モデルに短時間ながら試乗する機会を得たのでリポートをお届けする。

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新型クラウンの大きな特徴のひとつに、システムのコストを大幅に削減したハイブリッドパワートレインを採用し、従来の3リットルV6エンジン車と同等価格の主力グレードとしたことがある。果たしてトヨタの目論見は見事に当たり、受注状況をみると4台中3台はハイブリッド。また発売後1ヵ月時点での受注台数が2万5000台に達するなど、モデルの人気そのものも押し上げることにも貢献している。

■ハイブリッドシステムの洗練度が格段に高まった

まずははハイブリッド2機種(ロイヤルサルーンG、アスリートS)のパワートレインのフィールから。新型クラウンのエンジンは現行『カムリ』などに使われている2.5リットル直4アトキンソンサイクルの燃料供給システムをトヨタお得意の筒内噴射・ポート噴射併用「D-4S」第2世代に変更し、圧縮比も13:1に高めたもの。最高出力は18馬力増しの178馬力である。

普通にドライブしているかぎり、パワーアップの実感はあまりない。トヨタのハイブリッドシステム「THS II」は、駆動用モーターが減速ギアを介して駆動輪とダイレクトに接続されている。パラレルハイブリッドとは逆に、いわばエンジンがモーターをアシストするようなシステムである。

新型クラウンではその制御の大幅な進化が図られたようで、『プリウス』やカムリなどと比べ、エンジンがかかったときのトルクの変化が非常に小さく、トヨタの主張する「シームレスな(段付き感のない)加速」というTHS IIの特質が文字通り達成された感があった。エンジントルクとモータートルクの混合が巧みになったぶん、エンジンパワーを体感するシーンが減ったというイメージだ。

もっともこれは体感的なもので、実際の動力性能は十分以上に高い。システム統合出力は220馬力と、旧型の3リットルガソリンより36馬力低いが、ハイブリッドの特質である低中速域での加速力は十分で、大型サルーンらしい走りを楽しめるだけの性能は持ち合わせているように思われた。エンジニアによれば、中間加速領域では旧型3リットルより新型ハイブリッドのほうが実際に速いとのこと。

3.5リットルV6を搭載し、統合出力345馬力を誇った旧型のハイブリッドに比べるとさすがにマイルドだが、高速道路の制限速度が低く、制限速度100km/hの一般道ワインディングロードなども存在しない日本では、メルセデスベンツの大排気量V8と変わらないくらいの暴力的な速さだった旧型のほうが完全にオーバースペックで、一般的なユーザーには性能、価格、燃費などいろいろな面で新型の2.5リットルのほうがフィットするだろう。

■大型セダンとしては第一級の燃費

さて、ハイブリッドの最大の特質である燃費性能の高さについてだが、前述のとおりD-4Sに改設計され、従来のポート噴射アトキンソンサイクルに比べてエネルギー効率の高い領域が拡大された新型2.5リットルエンジンの出来が予想以上に良く、省燃費性は申し分なかった。

まずロイヤルサルーンGを、デュアルエアコンを使用したうえで省エネを意識しながら走ってみた。首都高速では走行車線をおとなしく巡航、一般道は渋滞気味というコンディションで走ってみた結果、オンボードコンピュータの数値は21.5km/リットルとなった。

表示燃費があまりに良いため、スタート時に比べてバッテリー残量がかなり少なくなっているのではないかと疑ったが、ゲージを見るとスタート時とまったく同じ位置であった。JC08モード燃費は23.2km/リットルと、カムリに比べて0.2km/リットル低いが、エコランのしやすさはカムリの比ではなく、実効燃費ではクラウンのほうが格段に優れていると思われた。

次にアスリートSを、東京における個人タクシーの走行をイメージしてドライブしてみた。エアコンはON。高速では追い越し車線の流れに乗って優速気味に巡航。高速ランプから本線車道への合流で全開加速を試みたり、信号待ちからの発進加速のさいもエコを意識せずに遠慮なくスロットルを踏み込んでみた。結果、表示燃費は15.2km/リットルであった。途中、商業地区でトラック集中による大渋滞にハマったことを考えれば、これも十二分に良いスコアといえよう。

新型クラウンハイブリッドのハイブリッドカーとしてのパフォーマンスは、ほぼ全面的にカムリを上回っている。プレミアム狙いのハイブリッド専用モデル『レクサスHS』など、立つ瀬がまるでないくらいだ。短所があるとすれば、カムリに比べてエンジン音がややゴロゴロとしたがさつなことだが、気になるとしても高負荷時くらいのもので、低負荷時は静かなものである。旧型以前の3リットルクラウンのユーザーが乗り換えても、満足点が不満点を大幅に上回ることだろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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