スーパーの駐車場に実際に止めて“目立ち過ぎない美学”を実感。日常使うクルマとして、あくまでシンプルでプレーン……そんなよさを新型のダイハツ『ムーヴ』は訴求している。
印象的なのは室内空間の上質さ。インパネはメーターがセンターからドライバー正面に移り、ナビ画面と中央のレジスター(空調の吹き出し口)が従来より高い位置に移動。ナビの操作性が向上。エアコンの風がドライバーの左手を直撃しなくなった。有効なポケット類も増やし実用性を高めている。インパネ表面も、目に煩くないシボの選択で、落ち着いた上質な仕上がり。フロントスピーカーがドアトリム(とAピラー)の高い位置に取り付けられ、USBで接続したiPodの音楽も高音質で楽しめた。
シートは前後とも軽自動車としては納得できるサイズと出来。座面クッション前後長もまずまずだ。後席は床面が平らでスペースも十分。レバーひとつで簡単にスライド機能が使え、ラゲッジスペースを簡単に拡大できるのも便利。後席には頭上横に左右2個の室内灯も備える。
試乗車はX“SA”グレード。NAエンジン(52ps/6.1kg-m)+CVTのFFモデルだった。町中から高速走行まで安定感、安心感が十分で、ボンネット裏の吸音材などの効果で、走行中のエンジン音なども気にならなかった。ス
ピードメーターの針が10km/hを通り過ぎて落ちると条件次第でアイドルストップに入るエンジンは、エンジン出力をアクセルで操作しやすく、燃費のいい効率的な運転がやりやすい。試乗車借り出し初日、約50km(高速、一般道)を普通に走らせ、メーター内の平均燃費表示で26.3km/リットルの数字が確認できた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。