【クライスラー イプシロン 試乗】実用車ながらエクスクルーシブな存在感…島崎七生人

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【クライスラー イプシロン 試乗】実用車ながらエクスクルーシブな存在感…島崎七生人
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見たこともないい実用車!?『イプシロン』に乗る醍醐味は、まさにそうした希少性が味わえるところにある。

試乗車は2グレード用意されるうちの標準グレード「ゴールド」(235万円、上級の「プラチナ」は260万円)。ところが嬉しい発見がひとつ。それはファブリックシートで、メイン部の生地の絶妙な伸縮、たわみ、表面のシトッ!とした感触が、フカッ!と心地よく繊細な座り心地を味わわせてくれる。パン!と張った感触のレザーシートより『イプシロン』らしいし、ちょっと以前のランチア車をご存知なら「そうそうこの座り心地!」と膝を打つはずだ。

そのシートと、15インチタイヤのおかげで、乗り味もおっとりした味わいがより強調されていい。2気筒875ccツインエアエンジンと5速自動クラッチは、『フィアット500』と基本スペックは共通。しかし車重の差(80kg)が奏功し、ジンワリとした加速になり、フィアット500のようにアクセル操作により飛び出し感に見舞われる場面はない。ECOボタンも備わるが、ON/OFFの如何を問わず、流れに乗ったストレスのない走りができる。

実用面の魅力も多数。列挙すると、フィアット500同等(=1.2、ツインエア。ということは日本の軽自動車並)の小回り性のよさ、フィアット500より小さいフロントドアの狭い場所で扱いやすさ、バックドアの“カド”のない丸みを帯びた形が開閉のたびに“人に優しいデザイン”と思えること…など。後席はカタログ写真とは異なる3名乗車のため、分割が60:40(ヘッドレストが2個なら50:50)で、座面形状も異なり前後に短く、起きすぎの背もたれで、正直なところ万全な着座姿勢とは言いがたいのが残念。

両側から手を当てキチンと握るためのリム(断面)形状のステアリングや、メーターパネルなど、よく見れば上級クラス車(最新ランチア・デルタ)とほぼ共通。実用車なのにチャーミングなのがフィアット500の魅力だが、実用車なのにエクスクルーシブなこのクルマの魅力は、なかなか抗いがたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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