【ベントレー コンチネンタルGT スピード 試乗】贅を尽くした超高性能マシン…金子浩久

試乗記 輸入車
ベントレー・コンチネンタルGTスピード
ベントレー・コンチネンタルGTスピード 全 12 枚 拡大写真

モデルチェンジしても外観がほとんど変わらないように見えるが、ベントレーの『コンチネンタルGT』は2代目になった。

【画像全12枚】

シリーズ中の3モデルは性能順に、GT V8、GT、GTスピードとなる。そのトップモデルのGTスピードが最後にモデルチェンジした。これで3モデルが揃ったことになる。

他のモデル同様に、GTスピードも外観はほとんど変わらない。もともとハイパワーだったW型12気筒ツインターボ(!)エンジンがパワーアップされて、最高出力は625馬力(!!)。実に、軽自動車10台分以上のエンジンパワー。

それに伴う最大トルクも800Nmという図太いものが2000回転から5000回転の間でずっと発揮される。トランスミッションは新しい8速AT。停止から時速100キロに達するのにたった4.2秒しか掛からず、時速160キロでも9.0秒で達してしまう。最高速度は時速330キロ(!!!)。

そんな超高性能のすべてを試すことはできなかったが、ホンの一端に触れることはできた。時速60キロほどで高速道路を走行中にスロットルペダルを踏み込むと、回りのクルマを置き去りにして瞬時に加速していってしまったのである。

他の速いクルマの場合のフル加速と、コンチネンタルGTスピードが異なっているのは、そのエンジンサウンドと姿勢だろう。

他のクルマの場合は、スロットルペダルを踏み込んだと同時に雄叫びのようなエンジンサウンドを上げ、ノーズを少しリフトさせながら加速していく。それはそれで、また心昂ぶらさせられるものなのだけれども……。コンチネンタルGTスピードはスロットルペダルを踏み込んでいっても重奏低音が高まるだけで、耳をつんざくような排気音は聞こえてこない。

振動やフラ付きなども見せずに、どっしりと落ち着いた姿勢で速度だけが素早く上がっていく。SF映画に出てくる瞬間移動、ワープというのはこういうことなのかと錯覚してしまうほど速い。40対60の前後割り合いでエンジントルクを振り分ける4輪駆動システムを採用していることにもよるのだろう。

とにかく安定していて、静かだ。とても330キロも出るようには思えない。優雅でさえある。センターコンソールのモニター画面をタッチして変更できる電子制御式エアサスペンションの4ポジションのうちの最も柔らかな“コンフォート”を選べば、下手なサルーンよりもよっぽど乗り心地がいい。

ベントレーはコンチネンタルGTシリーズを「日常で使えるスーパーカー」と評しているが、まったくその通りである。とても贅沢な話だが、日々の足グルマとして使える。他のスーパーカーのように、超高性能と引き換えに何かを犠牲に強いられることもない。

贅沢なのは動力性能に限った話ではない。とびきり上質なインテリアに囲まれた車内もまた、贅沢極まりない。最上等の革、ウッド、金属などが熟練した職人の手によって組み込まれている。イングランド中部クルーにあるベントレーの工場を取材したことがあるけれども、まさに工房という言葉がふさわしい環境で製造が進められていた。

素材に関しても徹底していて、ベントレー社はスペインとカリフォルニアに山林を所有し、そこで車内のウッドパネルに用いる樹木を栽培するところから行っているのだ。伐採した樹木は数年間乾燥され、木目の美しいところがパネル用に選ばれる。同じように、革や金属も吟味を重ねたものが丁寧に加工され組み付けられていた。

高性能だけではなく、内外装についても、GTカーとして求められる最高のものを追求しているのがその名の通りのGTスピードだ。贅を尽くした一台だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア・居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

金子浩久|モータリングライター
1961年、東京生まれ。主な著書に、『10年10万キロストーリー 1~4』 『セナと日本人』『地球自動車旅行』『ニッポン・ミニ・ストーリー』『レクサスのジレンマ』『力説自動車』(共著)など。

《金子浩久》

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