ジャガーのラグジュアリークーペの中核モデルがこの『XKRクーペ』だ。中核といっても搭載エンジンは5リットルのV8・DOHCスーパーチャージャー(510ps/625Nm)を搭載する。
庶民感覚からすれば雲の上のクルマだが、まあ存在自体を否定、批評するより、その“心意気”を味わうべきクルマだ、と思う。
同じ日に試乗したコンバーチブルに対し、同じV8で過給機付きということで、どれだけパワフルか?と想像していた。が、実際の走りはダイナミックというより、スムースな印象。で、1810kgの車体を軽々と引っ張る。エンジンに対し6速ATが役不足なこともなく、箱根の山道でも意のままに加減速をしてくれる。
車重から想像するより、身のこなしも軽快。素直なハンドリングで、確かなタイヤの接地感を保ったまま、スムースにコーナリングをこなす。このあたりはイギリスのスポーツカーの心得が生きているところ。乗り心地は決してハードではなく、もちろん実用車としても通用する。
メーターはシンプルで見やすい。各種情報の日本語表示がカタカナなのは、今どきの高級輸入車としては少したどたどしい印象。トランクは浅いが奥行きがたっぷりとあり、十分な量の荷物を積み込み旅行に出かけるのにも活用できそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。