従来より溶接打点の間隔を短くできるというLSW(レーザースクリューウェルディング)を採用。およそ300点増しの打点とし、さらにパネル同士を“面”で接着する工法も採用する。
上記のような配慮で“高剛性ボディ”にこだわった新型『IS』。「データには出ないが感覚ではわかるねじり剛性を上げたかった。通常の倍ほどの試作車も作った」(開発エンジニア)のだそう。料理でも“ひと手間”を加えればより美味しくなるように、レクサスバッジがつく以上、ユーザーも「味」や「コク」は期待したいところだろう。
試乗車は『IS350 F SPORT』。走り出して実感するのは、新型IS共通のしっとりとした乗り味だ。またこの“Fスポ”でも、ステアリングの切り始めがトゲトゲしくなく、ごくスムースな感触なのもいい。さらに山道を走り込むと、速度を問わずタイヤの接地感の変化が小さいのも印象的。「しっかり曲げる方向」というDRS(4WS)を含むLDHは、限界領域での効果が顕著なはずだが、一般公道(山道)をややペースを速めて走っても、危なげなく、駆動輪である後輪が後ろからシッカリとクルマの向かう方向を支持してくれる感触が感じられた。
サウンドジェネレーターを装備するという3.5リットルのV6エンジン(2GR-FSE型)は、318ps/380Nmの性能を発揮。レスポンス、加速感を重視したという8速ATと組み合わせられ、エンジン回転とパワー感(とさらに快音)が自然にリンクした、気持ちのいい加速を示す。
フェンダーアーチの折り返し処理の工夫でタイヤを外側に張り出させるなどし、ルックスにもこだわったという新型『IS』。だとしたら強いていえば、フォルムはきれいだが、ディテールがやや凝りすぎの感があるのはどうだろう、という気もする。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。