【タイトヨタ G-BOOK 現地レポ】世界に先駆け e-CRB を導入したタイトヨタの10年

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DMAP内にあるsmart G-BOOKのコールセンター
DMAP内にあるsmart G-BOOKのコールセンター 全 18 枚 拡大写真

トヨタのディーラー向けクラウド型顧客連携(CR)ツール、「e-CRB(evolutionally-Customer Relationship Building)」。2004年4月のe-CRB立ち上げから丸9年が経過したが、FacebookやTwitterのようなソーシャルメディアやSalesforceのような同様の販売支援CRツールがほとんど普及していなかった当時にあって、このシステムが始めて導入されたのは日本でもアメリカでも中国でもなく、タイだ。

また、2010年12月に日本で提供開始したスマートフォン用テレマティクスサービス「smart G-BOOK」を、2012年に日本国外で始めて導入したのもタイの市場だった。2013年3月には、smart G-BOOKの機能強化に加えて、従来は特別仕様車のみの設定だった対応ディスプレイオーディオの純正オプション選択が可能になるなど、サービスと機能の充実を図っている。

今回、3月末に開催されたバンコクモーターショーに合わせて、タイトヨタ(TMT)と、e-CRBやG-BOOKなどのシステム運用を担うトヨタの関連会社、デジタルメディアアジアパシフィック(DMAP)、そしてトヨタディーラーを現地取材。タイにおけるトヨタのテレマティクスへの取り組みをレポートする。

◆立ち上げからちょうど10年を迎えたe-CRB

まず、smart G-BOOKの話題に入る前に、G-BOOKと密接な関係にあるe-CRBのタイトヨタ(TMT)における取り組みについて触れておきたい。

e-CRBとは、来店から商談、見積もり、さらに見込み客への連絡やそのタイミングなどを自動で管理することで見込み客の獲得確率を高めるだけでなく、既存顧客への点検誘致や新型発表告知案内、さらには下取り査定に至るまでのバリューチェーンで顧客をグリップし続けるためのディーラー支援システムだ。

タイトヨタでe-CRBの部署が立ち上げられたのはサービス開始に先立つおよそ1年前の2003年。今年はe-CRB立ち上げからちょうど10年を迎える節目だ。タイトヨタのカスタマーサービス・マーケティング部長、Sinives Nutthon氏によれば、「当時は販売支援を目的として国内営業部門の下に位置づけられていたが、2009年の組織改正によってカスタマーサービス部門に移った。現在e-CRBは、このカスタマーサービスの中心となる部署として、セールスだけでなくサービス、中古車、すべての部門と関連した業務をおこなっている」という。

さらにe-CRBは「e-TOYOTAclub」「コールセンター」「カイゼンプロモーション」という3つのチームに分かれる。「e-TOYOTAclubは見込み客獲得のためのウェブサイトマーケティング、テレマティクスを担当し、コールセンターとカイゼンプロモーションは既存の顧客を取り込んでロイヤリティの高い顧客にしていくための販売店改善に関わる部署」(Nutthon氏)とのこと。

◆タイ国内の全販社に導入し、運用中

e-CRBおよびカイゼンプロモーションのディビジョン・コーディネーターの任にある鶴田洋介氏よれば「このe-CRB、122社あるタイ国内の販売店で導入されており、コールセンターはその全てに存在する。近い将来、タイトヨタが管轄しているラオスの市場にも導入予定」だという。

これらのクラウド型CRツールの開発や保守運用、またG-BOOKコールセンターの業務など、e-CRBの裏方を支える重要な役目をしているのが、DMAPだ。

トヨタの関連会社であるトヨタメディアサービス、およびその前身であるデジタルメディアサービス初の海外拠点として2004年の3月に設立された同社は、「現地現物主義を実現しながらもノウハウは流出させない」という戦略ビジネスユニットの考え方を実行に移した第1弾だ。その後2005年には中国にBMTS(Beijing Media Technical Solution:北京/広州)、2011年にはインドにGMSI(Gazoo Media Service India)と、DMAPの例を範にして横展開が図られている。

このように、タイトヨタはASEAN地域における中核拠点として、トヨタのグローバルテレマティクス戦略の一翼を担っている。

《北島友和》

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