【トヨタ クラウン アスリート 試乗】足回りは大きく進化したが燃費は物足りない…松下宏

試乗記 国産車
トヨタ クラウン
トヨタ クラウン 全 30 枚 拡大写真

新型『クラウン』は外観デザインがインパクトを与えた。とりわけアスリートのデザインは強いインパクトを与えるもので、発売前からネット上に流れた写真に対して賛否両論が巻き起こった。好き嫌いはともかく、大きな話題を集めたという点では大成功である。

【画像全30枚】

外観デザインが大きな変化を遂げたのに対し、目に見えない部分である基本プラットホームは従来のモデルを継承した。というか、更にひと世代前のゼロクラウンから3代続けてプラットホームを継承している。これはクラウンとしては例外的なことだ。

アスリートのガソリン車には、「3.5アスリートG」と「2.5アスリートS」の2台に試乗した。(ハイブリッドシステムを含まない)V型6気筒3.5リッターエンジンはこれまでもアスリートにだけ搭載されていた。直噴とポート噴射の2種類の燃料供給方式を採用するエンジンだ。

2005年にこのエンジンがデビューした当初はとても力強い優れたエンジンという印象があったが、現在では競合車のエンジンも性能向上が図られ、際立って優れたエンジンではなくなった。とはいえ232kW/377N・mの動力性能は十分なもので、アクセルを踏み込めば豪快な加速が楽しめる。

新型クラウンではこのエンジンにだけ、電子制御8速ATが組み合わされ、6速ATに比べて格段に滑らかな変速を見せるようになった。市街地走行などでは4速から6速くらいまでのギアが使われ、8速にはまず入らないのだが、その4~6速のどのギアを使っているかが分からなくなるくらいにスムーズな変速を示す。

高速クルージングではギア比の高い8速が使われるので回転数が抑えられ、とても静かで快適な走りになる。

2.5リッターのアスリートSは、動力性能では3.5リッターに及ばないし、ATも6速になるのでスペックを見ると物足りなさを感じる。でも実際に走らせた印象はこれで十分といった感じの実力である。

6気筒ならではの吹き上がりの良さやパワーフィールなど、以前からの良さがしっかり継承されているし、149kW/243N・mの動力性能は1500kg台の車両重量に対しても余裕がある。6速ATだって8速ATと比べるのでなければ特に不満は感じない。

ただクラウンのガソリン車は、2.5リッターも3.5リッターも燃費性能はもうひとつ。どちらもエコカー減税の基準にまで燃費が到達していないのだ。最近のクルマ選びはエコカー減税の対象車であることが条件になるから、対象外のクルマはちょっと厳しい。

アスリートに乗って良くなったと感じたのは足回り。ゼロクラウンもひと世代前のクラウンも、アスリート系のモデルは足回りが硬くて乗り心地が悪かった。

スポーティな足回りは自分で運転するときにはそれなりに好ましさを感じたが、隣や後ろに乗せられている人からは乗り心地の硬さに不満が出ることが多かった。

今回はそれが大きく改善され、ロイヤル系を超える乗り心地を得たと思えるくらいになっていた。サスペンションアームに新しい形状を採用したほか、アスリートS以上のグレードにはAVSと呼ぶ制御システムが採用されており、これが乗り心地に大きく貢献しているようだ。

試乗車はアスリートGには18インチタイヤが、アスリートSには17インチタイヤが装着されていた。より乗り心地が良く感じられたのはアスリートSの方だった。

アスリートはロイヤルよりも上級に位置付けられることもあって、価格もやや高めに設定されている。なので、エコカー減税の対象にならないことも含めて、アスリートのガソリン車はお勧めしにくい。

クルマは悪くないが、エコカー減税と燃費の違いによる経済性を考えたら、多くの人がハイブリッド車を選ぶのも当然だ。

ハイブリッド車には4WDの設定がないため、積雪地のユーザーはガソリン車を選ぶことが多くなるが、そのときにアスリートが勧められる程度である。2.5リッターの4WD車はアスリートとロイヤルが同価格に設定されている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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