プラクティス開始から1時間10分を経過したところで佐藤琢磨はこの日初めてコースへ飛び出した。
雨雲が迫る中、一刻も無駄には出来ない。
新品タイヤを履いて、いきなりの予選シミュレーション・アタックだ。スピードは226マイル/h前後に4周をきれいに揃えた。
ピットに戻り、セッティング変更を施すと、再度ニュー・タイヤでアタックを試みる。
今度は227.038マイル/hを筆頭にコンスタントに226マイル/h後半で周回を重ねた。
合計わずか14ラップという短くも激しいプラクティスだった。マシンを降りた琢磨の頭を御大A.J.フォイトの分厚い手が撫でた。
続いてガッチリ握手。
ヘルメットの中の琢磨も笑顔だ。すべてが上手く行った一日だった。スピードはトウなしでこの日の10番手に記録された。