打上げ管制の常識を打ち破る「モバイル管制」を実現するイプシロンロケット

宇宙 テクノロジー
イプシロンロケットの飛翔イメージCG。
イプシロンロケットの飛翔イメージCG。 全 6 枚 拡大写真

JAXAが8月22日に初号機の打上げを予定している、IHIを中心に開発中の「イプシロンロケット」。実は、世界のロケット開発や管制の仕方に対して、大変革をもたらすといえるほどの新機軸が複数採用されている。

まず打上げ費用だが、前身の「M-V(ミューファイブ)ロケット」が約75億円だったのに対し、イプシロンロケットは38億円と約半分になった。M-Vは打上げ能力が1800kgで、イプシロンロケットは1200kgと3分の2にはなっているが、コストパフォーマンス的には約3割のアップという計算だ。

さらに初号機の打上げ準備中だが、同時進行で「高性能化・低コスト化」の研究開発も進められており、2017年に打上げ予定の4号機の頃には、30億円を切る費用を目指している。費用が下がってくれば、月に1度の打上げも夢ではないと、イプシロンロケットプロダクトマネージャの森田康弘氏は語る(さらにその先に週に1度も考えているという)。

そして革命的な要素のひとつが、「モバイル管制」と名付けられた、少人数、低コストな管制システムを実現したことだ。普通、ロケットの打上げといえば、アポロ時代以来、非常に多人数の管制官が管制室に陣取って行われるわけだが、なんとイプシロンロケットは冗長構成でも2台のPCと、4~5人のスタッフで行う。

しかも、現地で管制をする必要すらなく(初号機の打上げは発射場の内之浦宇宙空間観測所で行われるが)、インターネットによる遠隔地からも可能。それで本当に打上げられるのか不安になるほど、常識外れなまでのシンプルな管制システムなのだ。

それを実現したが、「ロケットの知能化」である。イプシロンロケットには、機体の状態を監視するシステム「ROSE(Responsive Ordnance Circuit Equipment)」と、火工品回路の健全性を確認するシステム「MOC(Miniature Ordnance Checker)」が搭載されており、イプシロンロケットが自分で自分の状態を把握できるようになっているのだ。

《デイビー日高》

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