【JAXA D-SEND】機体形状によってソニックブームの低減を目指す

航空 テクノロジー
主翼の角度は途中で変わる。
主翼の角度は途中で変わる。 全 8 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「D-SENDプロジェクト」を通じ、2020年を目標に技術の確立を目指す「ソニックブーム低減技術」とはどういうものなのだろうか。プロジェクトマーネージャーの吉田憲司さんは「機体形状でN型波形を変えること」と説明する。

超音速機によるソニックブーム(衝撃波)は、超音速で飛行する機体の先端が空気を切り裂く際に発生するマッハコーンと、機体後端の尾翼が起こす空気のかく乱で生じる。前方と後方で発生するために約0.2秒のタイムラグがあり、人間の耳にはこれが連続して爆発音のように聞こえる。グラフとして書いた場合、アルファベット「N」のように2回の山がある(機体先端で圧力が盛り上がり、後端で急激に落ちる)ため、「N型波形」と称される。

D-SENDプロジェクトでは、このN型波形を機体形状の見直しによって低減。衝撃波を分散して発生させることで超音速飛行で生じる圧力を弱め、結果としてソニックブームによる騒音も低減させることを狙いとしている。

戦闘機を含めた超音速機では、機体先端を円錐状にしているが、今回の試験機体では非軸対称のブーム機首を採用。主翼も途中から角度が変わる形状となり、機体下部には波打つようなわずかな凹凸をつけ、発する衝撃波を打ち消すようにしている。また、後胴(エンジン搭載部分)は平坦な形状となっており、逆キャンバ形状の尾翼とともに、衝撃波を低減させる設計となっている。

《石田真一》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 中国マイクロEV『小馬』10万台を販売した「かわいいペット」戦略
  3. 快進撃のヤマハ、次は「親しみやすいスーパースポーツ」で勝負!?「鈴鹿8耐2025」注目の1台
  4. 日本初のクルマ専用「除湿剤」が登場、最長180日間快適に
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る