運輸安全委員会、石勝線火災事故の報告書を公表…車輪踏面の管理徹底を勧告

鉄道 行政
キハ283系気動車を使用しているJR北海道の特急「スーパーおおぞら」。
キハ283系気動車を使用しているJR北海道の特急「スーパーおおぞら」。 全 2 枚 拡大写真

国土交通省外局の運輸安全委員会は5月31日、JR北海道の石勝線で発生した列車脱線事故に関する報告書を公表した。車輪の異常が部品の落下と脱線につながったものとし、JR北海道に対し車輪の管理を徹底するよう勧告した。

事故は2011年5月27日に発生。釧路発札幌行き特急「スーパーおおぞら14号」(6両編成)が走行中、車掌が異音と振動を感じたことから、第1ニニウトンネル内の清風山信号場(北海道占冠村)で停止した。その後、列車から発生した火災の煙が列車内に進入した。

運転士は列車をトンネル外に移動させようとしたが動かなかったため、乗客乗員全員が徒歩でトンネル外に避難した。全6両が全焼し、乗客78人と車掌1人が負傷した。

報告書によると、4両目後部の減速機を支えるつりピンが脱落したことで減速機が垂れ下がり、これが分岐器に接触して4両目の後部台車が一時脱線。さらに減速機から歯車が脱落して線路内に落下し、5両目の後部台車がこれに接触して脱線した。出火原因と火元は車両の損傷が激しく特定できなかった。

運輸安全委員会は、車輪の踏面(とうめん)の擦り傷や剥離の進行で形状に狂いが生じ、これが振動を増大させてつりピンの脱落につながった可能性があるとしている。こうしたことからJR北海道に対し、車輪踏面の状況を把握するための適切な検査手法などを確立し、管理を徹底するよう勧告した。

これを受けて国土交通省は、日本鉄道車輌工業会と日本鉄道車両機械技術協会に対し、動力伝達装置を含む不具合について鉄軌道事業者などと情報の共有化を図るよう通達した。また、全国の地方運輸局長に対しても、管轄事業者における車輪踏面状態の検査時期や検査方法、保守の実態について調査するよう指示した。

《レスポンス編集部》

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