【メルセデスベンツ E300 4マチックステーションワゴン 試乗】…諸星陽一

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ E300 4マチックステーションワゴン
メルセデスベンツ E300 4マチックステーションワゴン 全 5 枚 拡大写真

メルセデスベンツの『Eクラス』がビッグマイナーチェンジを行った。

今回のビッグマイナーではEクラスの最上級グレードとして585馬力のエンジンに4WDシステムを組み合わせたモデルのE63AMG S 4マチックが追加されている。この4マチック(4WD)化は、有り余るハイパワーを4輪に分散して安定感を高めたいという目的だが、E300の4マチックはどちらかというともっと実用に振られた4WD的な要素が強い。

E300に積まれる3.5リットルV6は252馬力/34.7kgmのスペックで車格にあったもの。無理なく快適な加速を得ることができる。E250の2リットルターボにはパワーで勝り、トルクで劣るが、排気量が大きいエンジンならではの余裕感があるのも事実。

Eクラスの4マチックはFR駆動をベースに、前輪にもトルクが伝わるようにしたシステム。つねに前輪にもトルクが伝わるシステムのためか、ステアリングの中立感に若干の甘さを感じる。またシステムが複雑であるがためのメカニカルノイズがこれまた若干車内に入ってくる。しかしいずれも気にすれば気になる、探せば見つかる…といった程度のものだ。

FFベースの4WDの場合は4WD化によって、フロントタイヤの負担が減ったり、重量配分がよくなったりで、ハンドリングがポジティブ方向を向くことが多いが、FRベースの場合はもともと駆動を担当していなかった前輪に駆動をさせるのだから、副作用が発生するのもしかたないこと。

質実剛健でビシッと引き締まった感触がメルセデスの魅力だけに、ちょっとした緩さがネガディブに感じてしまうが、そのために得られる雪道や大雨のときの安定性を考えれば納得のいくことだろう。というかそのネガ自体、かなり真剣に重箱の隅をつつかないと出てこない。

ハンドリングそのものは安定感があり、ステアリングを切ったなりにクルマが向きを変えてくれる。乗り心地も上質で、安心してドライブできるタイプに仕上げられている。おしいのはセダンもワゴンも4マチックは左ハンドルしか用意されていない点。サーキット走行を楽しむようなクルマではないのだから、右ハンドルがないのはよろしくない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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