JR西日本、奈良線の6割を複線化…京都駅ホームの改良なども実施

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京都駅10番線で発車を待つ奈良行き普通列車。奥の8番線には「みやこ路快速」の姿も見える。
京都駅10番線で発車を待つ奈良行き普通列車。奥の8番線には「みやこ路快速」の姿も見える。 全 7 枚 拡大写真

JR西日本は6月19日、奈良線の複線化事業について沿線自治体と合意のめどが立ったと正式に発表した。複線化と同時に駅の改良や踏切の安全対策の強化も実施する。

奈良線は1990年度に1日あたり約2万1000人が利用していたが、その後右肩上がりに増え続け、2011年度は約5万2000人が利用した。その一方、踏切の多さやホームの混雑など安全上の問題があるほか、単線区間では輸送障害発生時にダイヤの乱れが増幅され、回復に時間がかかるという問題も抱えている。こうしたことから、沿線自治体の協力を受けて同線の複線区間を拡大することにした。

今回の複線化事業では、新たにJR藤森~宇治間と新田~城陽間を複線化する。これにより京都~城陽間が全て複線となる。山城多賀~玉水駅間の複線化も実施し、奈良線全線34.7kmのうち22.2km、全体の64%が複線となる。

同時に京都駅と六地蔵駅の改良、棚倉駅の1線スルー化なども行う。京都駅では奈良線ホームのうち8・9番線ホームの幅を4mから5.5mに拡幅。さらにホームから橋上駅舎へ直線的に移動できるよう、橋上駅舎につながるエスカレーターと階段を新たに設ける。合わせてエレベーターの新設も考える。これにより奈良線ホーム~橋上駅舎間の移動時間は現在の130秒から70秒程度に短縮され、混雑の解消と安全性の向上につながるとしている。

六地蔵駅では、複線化に合わせてホームを京都方に移設する。現在のホームは線路がカーブしている部分に設けられていて車両とホームの間に大きなすき間が生じているが、移設によりホームの幅が広がって直線的な形状となり、すき間も狭まるとしている。

踏切については、立体的に一定の範囲の障害物を検知する「3次元レーザーレーダー式障害物検知装置」を10カ所程度に導入する。また、通過列車と停車列車を区別して警報時間を調整する、いわゆる「かしこい踏切」も10カ所程度に導入する。これにより踏切の安全性向上や安定輸送の確立といった効果が見込まれ、異常発生からダイヤ回復までの時間を大幅に短縮できるとしている。

同社では、山陰本線京都~園部間(嵯峨野線)の複線化によって、遅れる列車の割合が23%から8%になったことから、奈良線でも遅れる列車の割合が3分の1程度に減少するのではないかとしている。

《レスポンス編集部》

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