ハイブリッドに期待するものは、燃費だろう。もしくは静けさとか。クリーンなイメージで、環境に気遣う自分を演出する材料として重宝することもある。そういう意味では、レクサス『IS』のハイブリッドは最悪である。
確かに、ふつうに走っていれば、燃費はいい。アイドリングストップもするから、気分もいい。モーターがすっとアシストする加速感も、心地よさすら感じる。
しかし、ISなのだ。スポーティに乗りたいのだ。しかも今回のIS、ボディがめちゃくちゃいい。国産車としては絶品といえるほど、アラフィー女子にすらわかるほど、ボディがしっかりしている。ボディのよさは、そのままサスペンションのよさをひきたて、ひいてはキレのあるしなやかな走りへとつながる。んじゃ、もう少し、とばかりに、アクセルを踏みたくなるのだ。いや、「踏め」とばかりにけしかけてくるから困るのである。
なにが困るって、せっかくのハイブリッドが台無しなのだ。もう、アクセル、踏んじゃって踏んじゃって、エンジン音のうるさいことといったら。直列4気筒って、こんな音だったっけ? と、いちいち車内に入り込んでくる音が耳障りなことといったら。上品も上質も木っ端微塵という感じ。そして出てくる燃費計の数字はひどい結果で、これ、V6エンジンと変わらないじゃん状態。アクセル踏まなきゃいいのにと言われそうだが、それは無理。ISは童話「赤い靴」よろしく、一度、ステアリングを握ったら、攻めの姿勢でアクセルを踏みつづけてしまうのだ。
ハイブリッドという聞こえはいいけれど、本気でISを味わうなら、ハイブリッドは勧めません。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省 安全基準検討会検討員他、委員を兼任。