線路の上を走る「TOYOTA」…JR貨物の「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」

鉄道 企業動向
早朝の山手線五反田駅を通り過ぎていく貨物列車「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」。まさに線路の上を走る「TOYOTA」だ。
早朝の山手線五反田駅を通り過ぎていく貨物列車「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」。まさに線路の上を走る「TOYOTA」だ。 全 5 枚 拡大写真

鉄道と自動車、あるいは鉄道と航空のように、種類の異なる乗り物はライバル関係にあることが多い。その一方で連携することもある。JR貨物が運転している「TOYOTA LONGPASS EXPRESS(トヨタ・ロングパス・エクスプレス)」も、鉄道と自動車の連携といえるかもしれない。

「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」は、名古屋~盛岡間の約900kmを結んでいる。その名の通りトヨタ自動車を荷主とする貨物列車で、中京圏の工場で生産された自動車部品を、トヨタ自動車東日本の岩手工場(岩手県金ケ崎町)まで運んでいる。従来はトラックで輸送していたが、環境負荷軽減策の一環として鉄道貨物輸送への切り替えを図ることになり、2006年11月から運転を開始した。

先頭の機関車とコンテナ車20両で編成を組み、コンテナ車1両につき31フィートコンテナ2個、1本の列車で最大40個の31フィートコンテナを運ぶ。コンテナも「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」専用のものが使われており、青色のコンテナの側面には「TOYOTA」のロゴマークが大きく入れられている。

1日あたりの輸送量は、10トントラック160台分。トラックから鉄道に切り替えたことで年間約1万4000トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減したほか、リードタイムも3.0日から2.25日に短縮したという。

鉄道貨物協会発行の「貨物時刻表」2013年3月ダイヤ改正版などによると、「トヨタ・ロングパス・エクスプレス」は名古屋臨海鉄道の名古屋南貨物駅(愛知県東海市)で部品を積んだコンテナを搭載して東海道本線の笠寺駅(名古屋市南区)に向かい、ここからJR線に入って盛岡貨物ターミナル駅(盛岡市)に向かう。

運行本数は笠寺発が12時34分と23時40分の北行2本、盛岡貨物ターミナル発が10時14分と21時38分の南行2本で、所要時間は15~17時間くらい。いずれも日付をまたいで運転し、土・日曜(始発駅基準)は運休する。

南行2本と北行1本は東海道本線、武蔵野線、東北本線経由で運転されているが、笠寺発23時40分の北行1本のみ武蔵野線を通らず、湘南新宿ラインが走っている線路を経由して東京都心を通過する。

この北行1本が山手線の五反田駅(東京都品川区)を通過するのは早朝の5時30分頃。ちょっと我慢して早起きすれば、東京都心の駅でも「TOYOTA」のロゴマークが入った青いコンテナを眺めることができる。

《草町義和》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. メルセデスベンツの主力SUV『GLC』、新型を9月に世界初公開へ
  2. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
  3. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  4. カワサキ『Ninja ZX-25RR』を日本初導入、価格は105万2700円 スタンダード版「25R」は廃止
  5. その名の通り1000馬力! 新型スーパーカー『ブラバス1000』発表、AMG GTのPHEVをさらに強化
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る