【インタビュー】IS車・通常車兼用バッテリー、その実力は…ジーエス・ユアサ バッテリー 営業企画部 畑中剛部長

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ジーエス・ユアサ バッテリー 営業企画部 畑中剛部長
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ジーエス・ユアサ バッテリーは、バッテリーの新製品『エコR ロングライフ』を投入した。エコR ロングライフは、アイドリングストップ(IS)車と通常のガソリン車の両方に搭載可能な汎用性の高いバッテリーで、流通在庫の効率化や、エンドユーザーには選びやすさにつながるなど、従来からの課題をクリアする同社の戦略製品だ。

ジーエス・ユアサ バッテリー 営業企画部の畑中剛部長に、新製品投入の狙いや目的を聞いた。

---:IS車対応のバッテリーは通常のバッテリーとどう違うのでしょうか。

畑中氏(以下敬称略):IS車は頻繁にエンジンを始動するのでバッテリーの電力を大量に消費します。そこでより効率的な回生充電ができるよう、通常のバッテリーより充電受入性能が飛躍的に高いことが要求されます。サイズは従来のバッテリーと同じですが、同じサイズでも中身と形式名が全く異なります。

2007年頃から市場に出回り始めたIS車ですが、現在のところ新車販売の2割程度がIS車になっています。軽自動車も競ってIS車を展開していますので、IS車対応の補修用バッテリー需要は拡大しています。

---:新製品開発のきっかけを教えてください。

畑中:もともと、従来のガソリン車とIS車に共用できるバッテリーがあればいいなというアイデア自体はありました。そのアイデアに加え、当社でラインアップしているハイエンドバッテリーにIS車対応技術を詰め込んだらどうなのか、という発想でスタートしました。もし実現すれば、これまでにない長寿命バッテリーが形になると考えました。

---:新たなバッテリーではどのような構造を採用しているのですか。

畑中:基本は従来から車に使われている、150年くらいの歴史を持つ鉛バッテリーです。鉛バッテリーの特徴は、低コストでリサイクルがしやすいという点ですね。エコR ロングライフでは、当社独自のULL(ウルトラ・ロングライフ)構造を採用しました。長寿命化のため極板の骨格ともいえる格子は、腐食や変形を抑える「高耐久性グリッド」としています。

プラス極板の活物質に乗用車用では初めて「ハードペースト」を採用しました。これにより、活物質の脱落や劣化を抑制でき耐久性が向上、長寿命化につながります。カーボン量の最適化と、電解液にリチウムを配合することで、充電受入性能が飛躍的に向上しました。急速充電性能に優れ、減速時に短時間で大電力を受け入れることができます。

---:エコR ロングライフを使用するメリットは。

畑中:IS車用のバッテリーは専用品で、一般の車用とは別物でした。しかし、新製品はどちらの車にも使うことができる、兼用品というのが最大の特徴です。

価格は一般の車用の高性能バッテリーと同等クラスです。IS車で使った場合も従来の専用品より寿命は長く、通常車で使った場合はさらに長寿命となります。新製品は通常車に載せると36か月または10万km、IS車に載せると18か月または3万kmを保証しています。

従来は同じサイズでもIS車用と一般の車用の2種類を用意しなければなりませんでしたが、1種類ですむため流通や在庫の面でも有利になります。また、リサイクル素材を採用していますので、環境にも配慮したバッテリーです。

加えて、今までとは違うバッテリーというイメージを打ち出すため、ケースの色を今までにないワインカラーにしました。バッテリーの形式名は頭に「EL」が付き、次いで従来形式とIS対応形式が併記されています。

---:他にこだわりがあればお聞かせください。

弊社のポリシーとしてメンテナンスフリーであっても液栓を備えていますので、液減りがあった場合は補水ができます。また、従来からあったインジケーターも搭載していますので、インジケーターを見ればバッテリーの健康状態が分かります。新機能の追求と、車に欠く事のできない安心・安全の提供を徹底的に製品に落とし込んでいます。

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