【フィット プロトタイプ 試乗】ハイブリッドのダイレクトな加速感が気持ちいい…丸山誠

試乗記 国産車
ホンダ フィットHV(プロトタイプ)
ホンダ フィットHV(プロトタイプ) 全 30 枚 拡大写真

新型フィットの注目モデルは、やはりハイブリッドだ。ライバルのトヨタ『アクア』を凌ぐ36.4km/リトル(JC08モード社内計測値)という燃費性能を実現したこともニュースだが、ホンダらしい走りの楽しさを持ち合わせているところがポイント。

アクセルを踏み込むとモーターアシストの効果で即座にトルクが立ち上がり、デュアルクラッチトランスミッションがダイレクトで気持ちのいい加速感を楽しませてくれる。

新開発の1.5LのDOHC i-VTECエンジンは熱効率に優れるアトキンソンサイクルを採用しているものの、パワー感は十分。高回転域でも吹け上がりが軽快で従来の燃費指向のエンジンとは明確に違い、スポーティささえ感じられる。最大のライバルであるアクアもアトキンソンサイクルを採用しているが、パワー感や吹け上がり感は新型フィットのほうが優れている。

アクアとの決定的な違いは、加速フィーリングだ。電気式CVTの動力分割機構を採用するアクアは、どうしても加速時にエンジン回転数の上昇と加速感がリンクしにくいためダイレクトなフィーリングが得られない。とくにアクセルを深く踏み込むようなスポーティな走りでは、新型フィットのダイレクトな加速フィーリングが印象的だ。ホンダがコンパクトカーのハイブリッドも「スポーツハイブリッド」と呼ぶのは、燃費だけではなく走りの質感を重視しているためだろう。

1モーターのデュアルクラッチトランスミッションを使ったハイブリッドは、減速時の回生効率の向上が難しいが、ホンダはアコードで採用した電動サーボブレーキシステムを新型フィットにも採用することで高効率化を実現している。通常の減速時は回生による減速がメインだが、変速時には回生を一瞬やめてブレーキの液圧を高めるという複雑なブレーキ制御をしているが、それを感じさせない自然なブレーキフィーリングに仕上げられていた。ノーマルエンジンを搭載するグレードと乗り比べると、ブレーキペダルのストローク感が違うが、これはサイズの大きなアコードのブレーキシステムをそのまま流用したためだ。

EVモードのボタンが採用されなかったのは残念だが、お薦めのグレードはもちろんハイブリッド。さらにSパッケージを選んでプリクラッシュセーフティ(レーザーセンサータイプ)のCTBAを装着したい。ノーマルハイブリッドより1インチアップの16インチタイヤを装着するためスポーティな走行フィールが味わえるし、安全性能も高められる。燃費性能と走行性能を高次元で両立させたのが、新型フィットハイブリッドだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

丸山 誠|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部に在籍後、モータージャーナリストとして活動。自動車専門誌や一般誌などで試乗インプレッションや新車解説を執筆。燃料電池車など環境関連の取材活動も行っている。また、キャンピングカーやキャンピングトレーラーの試乗、解説も行っている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

《丸山 誠》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 内装はまるで「地中海のヨット」! VWが新型キャンピングカー『グランドカリフォルニア』発表へ
  2. 日産『エクストレイル e-POWER』、338馬力デュアルモーターの「e-4ORCE」をインドネシア投入
  3. ランボルギーニの新型スーパーカー、初のカスタマイズ仕様「ポルト・チェルヴォ」公開
  4. もしも「タイプ992」が初代911をオマージュした世界線だったら…? ウクライナのデザイナーが再解釈
  5. 【エンジン音あり】話題の新型ホンダ『CB1000F/SE』の“図太”直4サウンドを鈴鹿で堪能! ライポジ&足つきを最速チェック
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
  5. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
ランキングをもっと見る