ホンダはこのほどメディア関係者向けに、3代目となる『フィット』のプロトタイプ(市販予定車)の技術説明会を開いた。次期フィットは国内の新鋭拠点として今月稼働開始した寄居工場(埼玉県寄居町)で生産し、9月上旬に発売する。
新型車のパワートレインは、1.3リットルと1.5リットルのガソリン車とハイブリッド車(HV)であり、現行と同じ構成。だがエンジンはすべて新開発で、HVについては従来の1.3リットルから1.5リットルのアトキンソンサイクルによる「DOHC i-VTEC」に変更し、HVシステムも1モーターの新方式である「i-DCD」(インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)に刷新した。
HVは、JC08モードによる社内測定値の燃費が36.4km/Lであり、ガソリンエンジン搭載車ではトヨタ自動車の『アクア』(35.4km/L)を上回って、量産車世界最高の燃費となる。7段の歯車式によるデュアル・クラッチ自動変速機により、高い燃費性能や滑らかな変速制御を追求した。1つのモーターが動力源とエネルギー回生時の発電機を兼ねる方式で、モーターの最高出力は22kWと現行のフィットHVの2倍強に相当、広範囲なEV走行につなげている。
エンジンを合わせたHVとしてのシステム最高出力は101kW(137馬力)となっている。バッテリーは従来のニッケル水素電池からリチウムイオン電池に変更、容積はほぼ同じだが蓄電容量を約2倍に拡大した。また、ブレーキは6月発売の『アコードHV』にも採用した電動サーボ式とし、高効率の回生につなげている。開発責任者である本田技術研究所の小西真主任研究員は「圧倒的な燃費性能とファンな走りを高次元で実現した。価格についても競争力のあるものにする」と話している。現行のフィットHVは159万円からであり、入口価格は同等レベルないし小幅アップに抑制される見込みだ。
一方、ガソリン車はベースモデルである1.3リットルが新開発のアトキンソンサイクルによるDCHCに、また1.5リットルは直噴DOHCへと、いずれも新開発エンジンに変更。新開発のCVTと合わせ燃費や動力性能を高めている。またデザインは、質感などを追求した新コンセプト「エキサイティングHデザイン」を導入し、従来のフィットらしさを伝承しながら全体としてシャープな印象を与えている。