日本一の暑さを逆手にとった工夫とは…トヨタ 多治見サービスセンター

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トヨタ 多治見サービスセンター
トヨタ 多治見サービスセンター 全 6 枚 拡大写真

トヨタ自動車は22日、販売店サービススタッフの育成を目的とした新施設「多治見サービスセンター」の竣工式を、岐阜県多治見市山吹町の同敷地内で実施した。

同センターの敷地面積は、東京ドーム4個分に相当する18.7万平方m。走行確認路は、最高速度100km/hで走行可能な外周路(1300m)のほか、インフィールドにベルジアン路(石畳)、波状路、ハーシュネス路(継ぎ目のある舗装路)、舗装表面の荒れた粗路面・チョッピー路、マンホール路、低ミュー路、そして一旦停止のある交差点なども用意されている。

これらの道路は、トヨタ車がユーザーによって実際に使用される「現場」を再現するためのもの。これによって実際の現象をサービススタッフが体験し、走行後に診断装置で車両データを取り出して故障診断や修理実習などを行う。

外周路の最高速度が100km/hなのは低めに思われるが、ほとんどの不具合は100km/h以下で再現可能なため、これで問題ないとのこと。車両へのストレスは、むしろベルジアン路や波状路などでの走行の方が大きく、これで十分に「クルマを痛めつける」ことが可能だという。実際、今回は同乗走行の機会があったが、欧州に多いベルジアン路での振動や突き上げは、自分のクルマであればもっと減速するであろうと思うほど激しかった。

また、多治見市と言えば、日本で一番暑い街の一つとして有名だが、この暑さもクルマにストレスをかけるのに好都合だという。さらに昼間は暑く、夜は冷える多治見独特の気候を利用して(夏季における昼夜の温度差は豊田市の9度に対して10.5度だという)、4階建ての研究棟は、空調を停止している夜間に、外気との換気運転を行うことで、翌朝から快適な空調になる工夫が施されている。

広大な敷地は、陶器が盛んな地元の東濃地方らしく、粘土鉱山の跡地だったもの。建物の内外壁には、地元の名産である東濃タイルが使われている。トヨタの投資額は土地が40億円、建物が50億円で、計90億円とのこと。建設にあたっては地域との調和を図るため、緑化が行われており、敷地内には生物多様性ゾーンを設けるほか、今年5月には植樹会も行われている。

同センターが多治見に建設されたことについて、豊田章男社長は記者団に「豊田市に近いなど理屈を言えばいろいろあるが、いいご縁をいただいた、結果的にとても良かった、と思っている。本当の意味での人材育成は時間がかかり、これぞという方法はないと思うが、人材育成の聖地として、ここでいろんな人材がより研ぎ澄まされた形で輩出されることを期待したい」と語った。

《丹羽圭@DAYS》

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