【地上で働くパイロット】業務の半分はデスクワーク、飛行機操縦だけが仕事ではない

航空 企業動向
羽田空港の一角にあるJALのオフィス。この中にも地上職を行う多数のパイロットがいる。
羽田空港の一角にあるJALのオフィス。この中にも地上職を行う多数のパイロットがいる。 全 10 枚 拡大写真

「パイロットの仕事は何か」と問われたら、「飛行機を操縦すること」と答える人が大半なのではないだろうか。実はパイロットの仕事は飛行機の操縦だけでなく、多岐に及んでいることはほとんど知られていない。

「我々パイロットは毎日のように飛行機を操縦していると思っている方が多いのですが、実は月の半分程度が操縦で、残りはごく普通のデスクワークをしているのです」と説明するのは、JALの運航訓練審査企画部に所属し、運航訓練部ではボーイング787の飛行訓練教官も務める松野伸一郎さん。

1か月を30日とした場合には休暇が10日間。残り20日間が仕事ということになるが、一般的にフライト(操縦)はこのうち8日程度、残りが地上でのデスクワークとなる。松野さんの場合は実際のフライトが2回(月20時間程度)、フライトシミュレーターを使った訓練が5回(日)、その他のデスクワークが9回(日)となっている。

パイロットといっても、JALにはパイロットの所属する10の部署(運航技術部、運航訓練部/運航訓練審査企画部、運航安全推進部、運航業務部、運航部、路線計画部、安全推進本部、意識改革・人づくり推進部/フィロソフィーグループ、乗員サポート部、顧客戦略部お客様サポート室)があり、地上でのデスクワークの内容は所属する部署によって異なる。

その中でも「え、こんな仕事まで?」と思わずにいられないほど異色に感じるのは、お客様サポート室での仕事だろうか。

この仕事を行っているのは、ボーイング737-800の機長も務める赤池秀夫さんだ。お客様サポート室での業務は月に10日間程度。主としてJALのWebサイト経由で寄せられる質問にメールで回答を行っている。

「パイロットがお客様サポート室の仕事をしているというのは意外かもしれませんが、飛行機の運航に関係した質問やご意見に回答できるのはパイロットだけなので、そういった意味ではごく当たり前のことなのです」と説明する。

寄せられた質問への回答は一度で終わるというわけではなく、必要であれば何回かメールのやり取りを行うことも決して珍しくないという。そしてここで得たお客様からのコメントについては各部署に送付され、運航乗務員の間で共有や周知が行われることになる。

ちなみにパイロットにはタイムカードというものは存在しないが、デスクワークの際には一般の事務職と同様、午前9時ごろから仕事を始めることが多いようだ。パイロット用の制服ではなく、ごく普通のスーツ姿(夏はクールビズの軽装)で仕事を行っているという。

《石田真一》

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