【テクノフロンティア13】電源もデジタル制御の時代、日本TIが開発評価キットを出展

自動車 ビジネス 企業動向
日本TIが出展したデジタル電源開発評価キット
日本TIが出展したデジタル電源開発評価キット 全 8 枚 拡大写真

東京ビッグサイトにて開催されたテクノフロンティアにおいて、日本テキサツ・インスツルメンツ(日本TI)は「C2000 リアルタイムマイコン デジタル電源開発キット」を出展した。これは次世代車両の開発でデジタル電源を採用するための開発/評価をおこなうためのものだ。

まずデジタル電源とは何か、ということだが、これは「デジタル制御電源」と言い換えた方が正しいだろう。出力電圧の状況に応じて、デジタル信号を演算処理することで、スイッチング素子のオン・オフをフィードバック制御するというものだ。これまでは信号処理の過程をアナログ回路で処理する(アナログ制御)のが一般的だったが、充放電のリアルタイム制御が不可欠な電気自動車やハイブリッド、プラグインハイブリッドの登場で、デジタルICを利用したデジタル電源が今後主流を占めると言われている。

日本TI営業・技術本部マーケティング部で組込プロセッサ・コネクティビティのマーケティングを担当する田原正之氏は、「効率化」と「柔軟性」という、大きなメリットがデジタル化にはあると説明する。

「当社ははもともとアナログの電源を強みとして製品群を用意しているが、モーターのエネルギーを回生してバッテリーチャージするといった機構を組み込む場合、アナログで構成しようとすると片方向のコミュニケーションのコントロールになるためきめ細かな制御が難しい。それをデジタル制御することで柔軟性を持たせることが可能になる。また、エアコンの使用状況に応じて電源制御を変えるなど、デジタル化によってバッテリーの消費が少ない制御方式が実現できる」(田原氏)。

「当社ではアナログとデジタルを組み合わせた開発キットも用意しており、HV/ EVだけでなく既存のガソリン車でも活用いただけるパッケージを用意している。R&Dでイチから部品つくって、基盤を起こしてというところから始めるのではなく、当社が提供する開発キットで基本的な評価をやってから稟議を通して本格的な開発に着手していただく。そうした方が差別化領域での開発に集中しやすい」と田原氏。

また、田原氏によれば、デジタル電源によって柔軟性が増すだけでなく、コピーの防止にも有用だと指摘する。「アナログの場合は部品構成や基板パターンで同じようなものをコピーして作れてしまう。デジタル化によってソフトウェアでの制御となり、ブラックボックス化されるため技術流出を抑止できる」。

数年来、自動車向けデジタル電源の普及は来ると言われていたが、田原氏によれば「開発キットの引き合いはかなり来ており、(デジタル電源の開発は)実感を伴っている」と語る。リッター0.1kmの燃費向上やEV航続距離の延長が商品カタログに大々的に謳われる昨今となっては、電源のデジタル制御も不可欠となりつつある。

《北島友和》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  3. “プチカスタム”でサマードライブの楽しさをブーストアップ![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. メルセデスベンツ車だけに特化!走りを静かにする「調音施工」認定店が埼玉県三郷市にオープン
  5. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る