【INDYCAR 第14戦】キンボール初優勝のミッド-オハイオ…琢磨は苦戦も前を向く

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佐藤琢磨は厳しいレースを戦うこととなり、22位。写真:Honda
佐藤琢磨は厳しいレースを戦うこととなり、22位。写真:Honda 全 12 枚 拡大写真

インディカー・シリーズ第14戦ミッド-オハイオ(現地4日決勝)はチャーリー・キンボールが制し、今季4人目のキャリア初優勝者となった。佐藤琢磨は苦戦して22位に終わったが、次戦以降の巻き返しを狙い、前を向いている。

クラッシュ発生等によるフルコースコーション(全車スロー走行)が1度もない展開のなか、カギを握ったのは戦略だった。序盤1~2位のライアン・ハンターレイ(#1 Andretti Autosport/シボレー)とウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)は、燃費をセーブしつつ、90周レースを30周ずつに割っての2ストップ作戦を選択。一方、序盤4位のキンボール(#83 Chip Ganassi Racing/ホンダ)は3ストップ作戦を採った。

結果から言ってしまえば、正解は3ストップ。この日はハードタイヤとソフトタイヤのパフォーマンス差が全車的に大きく、どちらも最低1度は履かなければいけない規定があるため、2ストップ作戦はハードタイヤで走る周回が多くなってしまい不利だったのだ。燃料的な自由度も増す3ストップで、しかもレース中に他陣営から「チャーリーが良すぎる」という脱帽の談話も出たほどの快走を見せたキンボールが、完勝といえる内容で初優勝を飾った。

「チームが素晴らしいマシンを用意してくれた。3ストップは最初から決めていたわけではなく、序盤の先頭グループのペースを見てからの判断だよ。(戦略をハンターレイやパワーとは変えて)単独で走れば、我々のスピードをさらに活かせるという確信が得られたからだ。チーム全体の力で、最高の週末にすることができた」と喜びを語るキンボールは、1985年生まれで、デビュー3年目。先天性の糖尿病という難病と戦いながらトップカテゴリーまでステップアップしてきたドライバーであり、その意味でも世界に向けて大きなエールの発信となる勝利だった。

2位はシモン・パジェノー(#77 Schmidt Hamilton Motorsports/ホンダ)で、3位はダリオ・フランキッティ(#10 Chip Ganassi Racing/ホンダ)。パワー、ハンターレイは最終的にそれぞれ4位、5位だった。

ホンダ勢表彰台独占のなか、予選からトラブル続きだった琢磨(#14 A.J. Foyt Racing)は決勝でも終始、苦戦。「マシンのバランスが良くなく、非常に厳しいレースになってしまった」。結果は24台中22位。ただ、「苦しいなかでも学べたことはあったし、しっかりデータも残せた。次のレースもロードコースなので、データを見直し、2回のテストをこなして、今の状況を克服したい」と、上位戦線復帰を誓い、顔を上げ前を向いている。期待したい。

今季後半は、最終戦の前までロードあるいは市街地コースでの戦いが続くインディカー・シリーズ。次戦は8月25日決勝の第15戦ソノマとなる。

なお、残り5戦ということでチャンピオン争いの動向も注目される時期だが、年間ランキング首位のエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske/シボレー)は今回6位。4連勝ならず7位だったランク2番手スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/ホンダ)とのポイント差をわずかに広げ、31としている。

《遠藤俊幸》

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