台湾映画『あの頃、君を追いかけた』…“江ノ電”との遠くて近い関係?

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『あの頃、君を追いかけた』 -(C) Sony Music Entertainment Taiwan Ltd.
『あの頃、君を追いかけた』 -(C) Sony Music Entertainment Taiwan Ltd. 全 7 枚 拡大写真

高校時代から社会人になるまでの男女の青春物語を描き、台湾でメガヒットとなった『あの頃、君を追いかけた』。いよいよ今週末9月14日(土)に公開を迎えるが、意外にも本作には鎌倉~藤沢間を走る“江ノ電”と共通点があるようだ。

台湾の人気作家ギデンズ・コーが、自伝的小説を自らメガホンをとり映画化した本作。悪友たちとつるんでばかりの男子高校生・コートンを中心に、大人へと成長していく若者たちの葛藤や、初恋の戸惑いを、1990年代後半から2000年代前半までの流行やヒット曲を交えて描き出していく。

江ノ電・鎌倉駅を訪れると、目に飛び込んでくるのは、なぜか本作のポスターと、モニターに映し出される予告編スポット。これまで、映画をイメージしたレストランの特別メニューや、人気ブランドのコラボレーション商品など、タイアップにもいろいろあるが、なぜ台湾発の青春映画と江ノ電なのだろうか…?

実は、本作の主人公・コートンと、ヒロインのシェン・チアイーが初デートする場所に、真相が隠されている。その場所は、台湾北部の平渓という山間の景勝地。ホー・シャオシェン監督の名作『恋々風塵』にも登場していたロケ地で、天燈に願いを書いて空に飛ばすと願いが叶うというお祭り“天灯節”で有名なスポットだ。本編の中でも、恋する気持ちを素直に伝えられない2人が、天燈に思いを託す印象的なシーンが登場する。

実は、そのエリアを走るローカル線「平渓線」と日本の江ノ電が、本年5月から“乗車券交流”と銘打って、相互の乗車券割引サービスを実施していたのだ。江ノ電といえば、まだ「サザンオールスターズ」のデビュー前、1976年から1年間に渡って放送された鎌倉を舞台にした青春ドラマ「俺たちの朝」に度々登場し、全国区の知名度を得たのは、40代半ば以上なら誰もが知るところだろう。当時、ドラマに影響を受けて、江ノ電に乗って湘南を訪れたカップルも多かった。

一方の平渓線沿線も、『あの頃、君を追いかけた』の大ヒット以降、ロケ地巡りをする若いカップルが後を絶たないのだとか。それゆえ、今回異例ともいえる小さなローカル線が結ぶタイアップとなった。予告編スポットは、鎌倉駅のほか、藤沢、江ノ島、長谷の各駅のモニターでも放映される。

70年代、若者の夢と挫折、希望を笑いとほろ苦い涙に包んで、大人気を呼んだ「俺たちの朝」と、90年代の高校生が社会人になるまでの青春を描いた『あの頃、君を追いかけた』。時代は違えど、男の“幼稚さ”や“一途さ”と、「男ってバカ」とそれを見守るヒロインの視線は同じなのかも。

そんな“青春”繋がりもある江ノ電と平渓線。本作を鑑賞した後は、江ノ電に乗って、ちょっぴりほろ苦い“あの頃”の自分を甦らせてみては?

『あの頃、君を追いかけた』は9月14日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。

《text:cinemacafe.net》

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