【プジョー 208GTi 試乗】右ハンドル&コンパクトボディが武器の韋駄天ハッチ…河村康彦

試乗記 輸入車
試乗会で用意されたプジョー208GTi
試乗会で用意されたプジョー208GTi 全 4 枚 拡大写真

フランスの自動車メーカーは、アメリカ市場に販路を持っていない。

それゆえ、「復調著しいアメリカ販売の恩恵に預かれない」というマイナス面もある一方で、「そのために”彼ら”が要求するボディサイズ拡大の声を聞く必要がない」という点は、日本にとっても見逃せないプラスの要因だ。

全長はわずか4m足らず。全幅も1.7mをやや超えるに過ぎないこのモデルのサイズは、右へ左へと細かく切り返す日本のタイトなワインディング・ロードでは、極めて大きな”武器”になる。加えて嬉しいのは、これが右ハンドル仕様である事。これでもし、「輸入車のMT車は、左ハンドル仕様が当然」などとバカげた”通”ぶりが持ち込まれていたら、日常の利便性や安全性が損なわれるのみならず、左コーナーでの死角が増して、せっかくの前述特長までがダウンしてしまうところであったからだ。

クラッチペダルの左側に残るスペースはいささか狭いものの、3つのペダルそのものはドライバーズ・シートに対しきちんと正対のレイアウト。大きく重いドアは、せっかくのコンパクト・サイズの利便性を一部殺いでしまうのは事実ながら、「5ドア仕様を出すつもりはない」というのは開発者の弁。

車両重量が1.2tしかないので、1.6リットルターボの心臓でもパワフルさは文句ナシ。ただし、レッドラインが6200rpmと”スポーツ心臓”としては低い点と、アクセルOFF時の回転落ちが鈍く、素早いアップシフトでは「次のギアに繋ぐまでの間に適正な回転数まで落ちきらない」点にはやや不満が残る。

タイトなターンを少々追い込んでも”アンダー知らず”でありながら、クルージング・シーンでは十分高い安定感が演じられる脚も、「おおよそプジョーのホットハッチに期待通り」という印象。

メーターを”上から見る”ために、ステアリングが無理矢理小径化されたドラポジにはやっぱり違和感が残るものの、コストと楽しさ&パフォーマンスの対比という点では見逃す事の出来ない新作だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ・ケイマンS、スマート・フォーツー、VWルポGTI(ドイツ置き去り…)
”東奔西走”ブログ、ときどき更新中

《河村康彦》

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