国土交通省の「大規模災害時の船舶の活用等に関する調査検討会」は、中間とりまとめを策定した。
大規模災害時の船舶の活用については、東日本大震災や阪神淡路大震災などの際、被災地への支援物資、自衛隊、警察、消防などの要員や車両の緊急輸送などで重要な役割を果たし、そのポテンシャルの高さが認識された。
このため、国交省は今年5月に同検討会を設置し、国・自治体の防災計画体系で船舶活用の位置付けを整理するとともに、船舶の特性を踏まえた大規模災害時、船舶の機能・役割の明確化、効率的な船舶活用方策を実現するための配備上の課題と活用方法などについて検討してきた。
同検討会の中間とりまとめによると、大規模災害発生時に活用できる船舶を確保し、平時の船舶運航事業からの離脱を円滑化するための取り組みとして、特定の輸送区間をモデルに、複数の事業者に参画してもらい、災害時の輸送需要に対応する相互協力のあり方などを検討する。
また、予約済みの旅客や荷主などの取り扱いについて検討するとともに、災害支援関連の輸送などを優先させることの社会的位置付けや、利用者や株主の理解を図る観点も含め、災害対策基本法に基づく指定公共機関などについて検討する。
船舶活用ニーズと活用可能な船舶のマッチングについては、平時から、大規模災害時に対応可能な船舶の選定に必要な船舶情報と港湾情報を集約・管理・共有する体制を構築する。
更に、船舶活用に関する情報伝達経路を整理する必要があるとしている。
今後、地域の実情や被害想定などを踏まえた地方ブロック毎の計画も含め、船舶の特性を活かした災害対応を円滑に実施するため、防災計画体系で、船舶活用の位置付けとの整合性を図りながら具体的に反映させていく。