【ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド 試乗】急速充電未対応の理由…河村康彦

試乗記 輸入車
ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド
ポルシェ パナメーラS E-ハイブリッド 全 6 枚 拡大写真

従来の「Sハイブリッド」を、マイナーチェンジを機に大幅アップデートしたのがこのモデル。

搭載エンジンは従来型同様、グループ会社のアウディから供給を受けるスーパーチャージャー付きの3リットル6気筒ユニット。一方で、ハイブリッド・システムはバッテリーをニッケル水素からリチウムイオンに変更した上で、容量を5倍以上までアップ。それを受け、モーター出力も2倍以上に引き上げている。

街中では特に“急ぎの加速”をするのでない限り、バッテリー残量に余裕があれば、ほぼその100%を電気自動車として走行可能。エンジンを始動せず135km/hまで加速が可能なので、発進時に「すぐエンジンが掛かる」という印象が強かった従来型に比べると、“EV濃度”が大幅に高まったというのが、ドイツで開催された試乗会でのまずは第一印象。

一方、ヨーロッパの燃費測定モードでのEV走行レンジは36kmだから、高速道路に乗れば「たちまち電気を使い果たして、“普通のハイブリッド車”になってしまう」という計算。実は、エンジンが効率良く使えるクルージング・シーンの後に再びEV走行をしたい場面に備え、エンジン余力を用いての“走行時急速充電モード(Eチャージ・モード)”が用意をされている。プラグイン(外部充電)化を行いつつも、いわゆる急速充電には敢えて対応しなかったのは、こんな機能が用意されるのもひとつの要因であるはずだ。

アウトバーン上では「アクセルひと踏みで軽々230km/hをオーバー」というスピード性能も確認。出来るだけ長い距離をEV走行で走り続けるというポリシーはそもそも備えていないのだ。0-100km/h加速を5.5秒でクリアし最高速は270kmと、あくまでもポルシェ車らしい走りを確保しつつ、EVとしてゼロエミッション走行する場面と、エンジンを高効率で回して走る場面をメリハリ良く使いわけるというのが、“ポルシェのハイブリッド車”ならではの考え方だ。

惜しいのは、日本仕様車ではナビ設定した目的地までの経路情報を事前に読み出して、ハイブリッド・システムを最適制御する“インノドライブ”や、スマートフォンとのやりとりで充電状態や乗車前の空調を管理する“カー・コネクト”に対応しない事。ポルシェの日本仕様車は今でも全車で、単に市販型のナビが納車前に装着されるに過ぎず、他の多くの国向けには対応済みの純正テレマティクス・システムを使う事が出来ない。このモデルでは、その悪影響を最も大きく受ける事になってしまっているのが残念だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

河村康彦
1960年生まれ。自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ・ケイマンS、スマート・フォーツー、VWルポGTI(ドイツ置き去り…)

《河村康彦》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  5. スバルマークの方が似合う? 新型ダイハツ『ムーヴ』のスバル版にSNSも注目!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
ランキングをもっと見る