ITS世界会議東京2013では、「交通安全・渋滞の解消へのさらなる取り組み」として、全10コースのショーケースが準備されている。14日はメディア向けにその事前試乗会が行われた。ここでは『S05 GSモバイル通信とITSスポットの協調サービス』についてレポートする。
このショーケースでは、高速道路上に敷設されたITSスポットと携帯電話網からの情報提供を連携させることで、高度交通情報をはじめ、道路標識、ランドマーク、注意喚起情報などをスマートフォンの画面に表示する。アクアラインのトンネル内ではITSスポットを利用した自車位置の測位や緊急避難誘導など、適切な情報提供も行うのにも注目だ。
試乗はDSRC車載機を搭載した大型バスに乗車し、お台場から海ほたるまでの高速道路を経由する片道約28km(往復56km)のコースを走行して行われた。この間にITSスポットとスマートフォンの協調サービスを体験する。
バスの車内にはWi-Fi環境を持つ車載サーバーが整えられ、DSRC車載器で受信したITSスポットの情報や3Gによってもたらされた情報をスマートフォンに反映させる。このDSRC車載器はBluetoothインターフェイスを備え、車載サーバーとつながる専用スマートフォンへ情報を伝える仕組みになっている。
乗車するとさっそく対応するスマートフォンが手渡され、NFCによってWi-Fi接続の設定がワンタッチで完了した。これでITSスポットや3G接続による協調サービスをスマートフォンで受ける準備ができた。なお、言語選択(日・英・中・韓)による情報提供も行われている。
バスが走るとさっそく実験の概要の説明がスマートフォン上で行われた。内容は図版とテキストによるもので、一目ですぐに内容が把握でき、高速道路の入口や分岐点のガイドが行われる。渋滞が発生しやすいポイントではその要因を説明した後、渋滞しやすい時間帯のガイドもあった。また、観光スポットに近づくとその解説をページめくりの形で表示。写真入りで表示され、見やすさも上々だった。
アクアラインに入って気付いたのが、本来なら測位できなくなるトンネル内でも自車位置の測位が継続されていたこと。これは推測航法のプログラムによるものだが、これだけだと車速によって誤差が発生してしまう。そこで絶対位置が分かっているITSスポットから位置情報をスマートフォン側に伝え、正しい位置に補正する。今回の実験でも、ITSスポットを受信すると同時に補正をする様子を確認することができた。
海ほたるでは、バスへの集合時間を促すアラートをスマートフォンに伝える実験も行われた。集合5分前になるとバイブレーションと同時に集合時間が迫っていることを知らせるイエロー画面が表示。さらに集合時間になるとレッド画面でそれを知らせた。
バスから下車/乗車はNFCによってチェックされ、これでWi-Fiと3G接続を切り替えて連続利用を可能にする。乗車しているかどうかの確認もでき、団体バスツアーなどでの活用すれば集合時間の遅延防止にも役立つ。
ITSスポットの活用方法をさらに広げるものとして、注目の提案がなされたと言っていいだろう。