運賃問題で北総鉄道が反論…「現行運賃維持なら補助金継続を」

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高額な運賃が問題化している北総鉄道北総線。北総鉄道は「補助金の継続がなければ現行の運賃水準を維持するのは困難」としている。
高額な運賃が問題化している北総鉄道北総線。北総鉄道は「補助金の継続がなければ現行の運賃水準を維持するのは困難」としている。 全 3 枚 拡大写真
補助金なしでも値下げは可能…北総線の沿線自治体などで構成される北総線運賃問題対策協議会がまとめた調査報告書について、同線を運営する北総鉄道は10月25日、「現行運賃水準の維持には補助金継続が必要」などとする申し入れを協議会に行った。

東京都心と千葉ニュータウンを結ぶ鉄道路線として建設された北総線は、周辺の鉄道路線に比べ運賃が高く、沿線住民の不満が強い。北総鉄道と沿線自治体などは2009年11月、値下げによる減収の一部を穴埋めする補助金(年間3億円)を自治体が拠出することで合意。2010年7月の京成電鉄成田空港線(成田スカイアクセス)開業にあわせ、運賃の値下げが実施された。

2009年の合意による補助金拠出は値下げ実施から5年間の期限付きとなっており、あと2年で期限切れを迎える。その一方、2011年の白井市長選挙では公費負担なしでの値下げを公約に掲げた伊沢史夫市長が当選。北総線運賃問題対策強協議会も本年8月、公費負担がなくても運賃の引き下げは可能とする調査報告書をまとめている。

これに対して北総鉄道は、千葉ニュータウンの少子高齢化や生産年齢人口の減少、若年層の都心回帰で「鉄道利用率低下が避けられない」と主張。さらに同社が抱えている879億円の有利子負債のうち約8割が変動金利で、現在の金利はリーマンショックや日本銀行の量的・質的金融緩和(異次元緩和)などの影響で最低水準にあることから「今後の金利上昇は必至」とし、依然として厳しい経営環境にあることを強調している。

こうしたことから同社は、「現行運賃の水準の維持には、(2009年11月の)基本合意に照らし、補助金継続が必要不可欠」としており、補助金が継続されない場合は「値下げ前の水準に戻さざるを得ない」として値上げの可能性を示している。

一方、協議会の調査報告書については、2012年度の収支がそのまま将来にわたって続くことを前提にしていることなどから「需要・金利等の前提条件に関する合理的な検討が欠落している」「事実の認識や解釈を誤っている」「不合理な条件設定なども見受けられる」とし、「議論の立脚点として全く意味をなさない」と強く批判した。

現在の北総線の運賃は大人片道普通運賃の場合、京成高砂~小室間19.8kmが650円。これに対し、途中の新鎌ヶ谷駅で北総線と交差している東武鉄道野田線は柏~船橋間19.8kmが300円、新京成電鉄新京成線は松戸~高根木戸間20.1kmが230円で、2010年の値下げ実施後も2倍以上の開きがある。

《草町義和》

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