GPS・準天頂衛星システム 2018年は精度向上の年

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GPS・準天頂衛星システム 2018年は精度向上の年
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2013年10月29日から31日まで東京海洋大学で開催された測位航法学会「GPS・GNSSシンポジウム」では、2018年から運用開始となる2機目以降の準天頂衛星と、GPS衛星の世代交代により大幅な精度向上が期待されるとの見通しが紹介された。

シンポジウム初日、内閣府宇宙戦略室より田村栄一企画官が「準天頂衛星システムについて」の題で講演を行った。2018年から準天頂衛星が4機体制になることで、GPS網の補完効果が高まり、測位信号の誤差を低減する効果が大きいという。

現在、アメリカの全地球測位衛星システムGPSは、31機の衛星を運用している。衛星からの測位信号を使って位置情報を得るには最低4機が必要だが、衛星の位置による誤差や電波の反射の影響を最小限にし、誤差の少ない安定した位置情報を得るには8機の衛星からの信号を受信することが必要だという。しかし、GPS衛星は世界中に分散しており、ひとつの地域で利用できる「仰角20度以上のGPS衛星」は5~7機にとどまる。これは今後2020年ごろまで変わらないという。

日本では、2018年以降GPS網に加わる準天頂衛星は4機になる。1機の準天頂衛星が仰角の高い天頂付近にいるのは1日8時間程度だが、それ以外の衛星も仰角20度以上に16時間とどまっており、1機あたり「仰角20度以上のGPS衛星」に換算すると0.7機相当と考えられる。準天頂軌道3機、静止軌道1機の衛星がすべて打ち上げられ、準天頂衛星システム4機体制が稼働する状態では、日本からGPS衛星を3機追加したのと同じ状態になる。衛星から1周波の測位信号を利用する場合、8~10機の衛星が利用できることになるのだ。

また、GPS衛星の世代交代も進む。現在、GPS衛星は2010年から第2世代4番目のグループ「ブロックIIF」衛星が打ち上げられ、来年以降は第3世代「ブロックIII」衛星の打ち上げのも始まる。これらの衛星の測位精度は誤差0.3メートル程度とされる。しかし軌道上には1990年代に打ち上げられた第2世代最初のグループ「ブロックIIA」がまだ8機稼働しており、こちらは測位誤差1~2メートルと大きい。2018年には、こうした衛星の世代交代が進むことで、GPS衛星に由来する誤差も小さくなるというものだ。

準天頂衛星の衛星数が増えれば、大きな目的のひとつである高仰角の衛星による、電波の反射(マルチパス)誤差低減も安定して達成できる。2018年から、準天頂衛星システムを加えたGPS衛星網の測位環境は大きく改善されることになるのだ。田村企画官は、それまでの機関に受信機や高精度測位を利用したアプリケーション開発を進め、「2018年の時点で利用環境が整っている」ことが大切だとした。

《秋山 文野》

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