国内唯一の宇宙光通信専用1.5メートル望遠鏡を公開…情報通信研究機構

宇宙 テクノロジー
東京・小金井市のNICT本部、宇宙光通信地上センタードーム内で1.5メートル望遠鏡の見学ツアーが開催された。
東京・小金井市のNICT本部、宇宙光通信地上センタードーム内で1.5メートル望遠鏡の見学ツアーが開催された。 全 9 枚 拡大写真

NICT 情報通信研究は、2013年11月28日・29日の2日間にわたり「NICT オープンハウス2013」を開催し、口径1.5メートルの望遠鏡を公開した。人工衛星を追尾できる望遠鏡としては日本最大。

【画像全9枚】

NICT 宇宙光通信地上センターの口径1.5メートル望遠鏡は、高速で地球の軌道上を周回する人工衛星を補足追尾し、光通信やレーザー測距を行うための専用望遠鏡だ。衛星は通常は1秒間に1度程度の速度で移動するが、この望遠鏡はさらにそれを上回る1秒間に15度程度の移動をするミサイルなど高速の物体でも追尾する性能を持つという。凹面鏡の主鏡を持つ1.5メートル望遠鏡の肩には20センチ望遠鏡がそれぞれついており、衛星からの通信は1.5メートル望遠鏡で受け、20センチ望遠鏡からガイドとなるレーザー光を射出するといった役割を担う。

今年11月、NASAの月探査機LADEEが月の周回軌道と地球上とでレーザー通信実験に成功し、ダウンリンク600Mbps以上の高スループットを実証した。大容量化と電波の周波数帯の割り当て制限の問題から、衛星との光通信の実用化が急がれ世界で研究が進んでいるという。

日本では、JAXAが開発した光衛星間通信実験衛星「きらり(OICETS)」が2005年に打ち上げられ、欧州宇宙機関 ESAの静止衛星ARTEMISと双方向の衛星間光通信を成功させている。その翌年に高度610キロメートルの「きらり」と地上との間で、世界初の地球低軌道の衛星と地上との光通信に成功。実験の際に地上局で活躍したのがこの1.5メートル望遠鏡だ。

施設公開日では、その時刻に日本の上空に位置していた準天頂衛星「みちびき(QZS)」を追尾するデモンストレーション披露した。重さ5トンの望遠鏡が滑らかにピア(望遠鏡を載せる台)の上で回転する様子を見学することができた。ピア上での回転は機械式だが、微調整は人の手でも可能になっている。ロープを引くと巨大な望遠鏡が静かに回転し、望遠鏡の精緻な構造を実感できる。2011年の東日本大震災の際にはピア上でズレが生じたため修復が必要となり、関係者を案じさせたという。

日本では「きらり」以降は衛星光通信の軌道上実証にブランクが生じてしまい、現在では米国や欧州の方が実証は活発に行われているという。しかし2014年に地球観測衛星「だいち2(ALOS-2)」と共に打ち上げられる予定の小型衛星「AES衛星 SOCRATES」には、NICTの開発した小型光通信モジュール「SOTA(Small Optical Transponder」が搭載されている。「きらり」では100キログラムあった光通信モジュールを6.2キログラムの小型・軽量・低電力化し50キロ級の小型衛星にも搭載できるようにしたものだ。今後は「SOTA」をさらに小型化した「VSOTA」を、東北大学が開発中の超小型衛星「RISESAT」に搭載し最大で10Mbpsの光通信を行う予定。小型衛星で進む衛星光通信実証では、1.5メートル望遠鏡もまた活躍することとなる。

《秋山 文野》

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