米鉄道局、脱線事故のNY通勤鉄道に安全対策要求…速度超過防止対策など

鉄道 行政
米NY郊外で12月1日、脱線したメトロノース鉄道ハドソン線の列車
米NY郊外で12月1日、脱線したメトロノース鉄道ハドソン線の列車 全 2 枚 拡大写真

米連邦鉄道局(FRA)はこのほど、12月1日にニューヨークのメトロノース鉄道ハドソン線で発生した脱線事故を受け、同鉄道を運営するMTA(ニューヨーク州交通局)に対し、保安システムの改善など緊急の安全対策を命じた。MTAは要求を受け対策を発表した。

事故は1日朝(現地時間)、ニューヨーク市のメトロノース鉄道ハドソン線スパイテンダイビル駅付近のカーブで発生、4人が死亡し60人以上が負傷した。報道によると、米運輸安全委員会(NTSB)は、現場付近のカーブは制限速度が時速30マイル(約48km/h)にも関わらず、事故列車は時速82マイル(約131km/h)で走行していたとしており、速度超過が脱線の原因とみられている。現場カーブ直前までの制限速度は時速70マイル(約112km/h)という。

米nbcニュースの報道によると、事故列車の運転席には運転士が意識を失い、ペダルを踏み外した場合に緊急ブレーキが作動する「デッドマン装置」が設置されていたほか、事故路線には信号を無視した場合には非常ブレーキがかかる自動列車停止装置が設置されていたものの、速度超過で作動するシステムにはなっていなかった。

FRAはMTAに対し、事故現場と同様に制限速度の差が時速20マイル以上ある区間をリスト化し提出するよう要求。これらの区間では制限速度を超過した場合に自動的にブレーキがかかるよう、信号システムの改善を求めた。

MTAはリスクの高い4カ所の急カーブに来年3月まで、5カ所の可動橋には9月までに速度超過防止システムを設置する方針を発表。整備が完了するまで該当区間では運転席に車掌が同乗し、機関車が牽引する列車など構造的に不可能な場合は、運転士と車掌が無線通話によって速度制限区間であることを確認しながら運行するとしている。また、26カ所で制限速度を引き下げ、制限速度の差が時速20マイル以上ある区間をなくすとしている。

米国の鉄道では、GPSや無線通信を使用して衝突や速度超過を防ぐシステム「ポジティブ・トレイン・コントロール(PTC)」を2015年までに導入することになっているが、普及は遅れている。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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