プジョー『208』に追加された「GTi」は軽快感にあふれたクルマだ。シリーズの頂点に立つスポーツモデルで、搭載エンジンは馬力で表示すると200psの実力だから、相当にスポーティなクルマだが、がちがちに固めたモデルでないのが良いところ。
ヘッドライトやグリル、エンブレムなどで外観の特徴付けがなされたほか、内装もナッパレザーとファブリックのコンビシートを始め、いろいろな専用の仕様が用意されている。
外観のエンブレムやブレーキキャリパーのほか、内装もシートのサイドサポート部分、ドアグリップ、ステアリングの頂部の目印、シートやインパネのステッチという具合に、随所に赤が採用されてGTiであることを主張している。
専用スポーツサスペンションを備える足回りは硬めというかしっかりした感じの乗り味を感じさせる。スポーツモデルにありがちなロールを抑えた走りではなく、適度かつ緩やかにロールさせながらコーナーを抜けていく、そんな気持ち良さが味わえる。
このような絶妙の味付けがなされたヨーロッパ車に乗ると、なぜに日本車にはこうした味付けができないのかと思わされる。ワインディングなどを走らせてとても楽しいと感じる足回りはこうした味付けなのだ。
搭載エンジンは1.6リットルの直噴ターボ仕様で、147kW/275N・mの実力を持つ。これはプジョーRCZの、それもハイパワー版に搭載されるエンジンと同じ仕様である。208のボディに対して余裕十分の実力であるのは言うまでもない。
またターボの特性を生かして2000回転以下の領域で最大トルクを発生するので、とても扱いやすくて気持ちの良い加速の伸びが味わえる。
トランスミッションは6速MTのみ。最近ではスポーツカーでも2ペダル車が増えているが、クルマを操っている感じを実感できるのはMT車の方だ。日本では、免許制度との関係で乗る人を選ぶようになってしまったが、プジョー 208 GTiのようなクルマには6速MTの存在意義がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。