8年振りのフルモデルチェンジで登場した新型Sクラスには、従来モデルから大幅な進化を遂げた『S 400 ハイブリッド』が設定されている。
システムの基本は従来と同じでV型6気筒3.5リットルエンジンに1モーターを組み合わせたマイルドハイブリッドだが、モーターの出力を向上させ、電池の容量を増やすことで、進化した仕様のハイブリッド車になった。
従来のモデルでは電気モーターによる支援はアクセルを踏み込んだときの瞬間的なものに過ぎず、すぐに電気を消費して通常の走りに戻っていた。それが新型Sクラスではモーター支援の領域が拡大し、EV走行も可能になった。
那須周辺の一般道や高速道路で試乗したが、一般道を走らせているときでも、ちょっとアクセルを緩めるとすぐにEVモードに入る。そしてじんわりとアクセルを踏んでいると、そのEVモードが長続きする。
高速道路でも車速やアクセル開度によってEV走行ができるので、燃費が良くなったのも当然である。2tを超える重量ボディで15.4km/Lの燃費は立派な数字である。
乗り心地や快適性も上々のレベルにある。今回のSクラスでは全車に電子制御の「エアマテックサスペンション」が採用されており、少々荒れた路面でも快適な乗り心地を確保する。
このほか、「レーダーセーフティパッケージ」を始めとする安全装備の充実度の高さはSクラスならでは。Sクラスのどのモデルを選んでも、現在の時点で最高水準といえる安全装備が手に入る。
試乗車はエクスクルーシブだったので価格は1270万円だが、ベースのS 400なら1090万円というのだから、従来の『S 350』並みの水準に引き下げられている。この価格帯のクルマを買える人には相当な割安感がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。