木星の大移動が作り替えた太陽系小惑星マップ 米仏研究者が基礎データを完成

宇宙 科学
木星の移動が小惑星をはじき飛ばしていったイメージ図。
木星の移動が小惑星をはじき飛ばしていったイメージ図。 全 1 枚 拡大写真

2014年1月29日、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターは、太陽系の「メイン アステロイドベルト」と呼ばれる小惑星帯に位置する10万個の大きさ・位置・組成についての最新の地図が完成したと発表した。

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのフランチェスカ・デメオ博士研究員、パリ天文台のブノワ・キャリー研究員による調査結果「Solar System evolution from compositional mapping of the asteroid belt」は、2014年1月29日付のネイチャー誌に発表された。現在、メインアステロイドベルトに位置する小惑星は、太陽に近い温度の高い場所で形成されたものと、太陽系の辺縁のより寒冷な場所で形成されたものとが入り混じっているという。小惑星は1980年代に考えられていたように、形作られた場所にそのまま留まっているわけではなく、太陽系初期に起きた惑星の大移動の影響で激しく移動したという説を裏付けるものと考えられている。

デメオ研究員は、アメリカ・ニューメキシコ州天文台の観測データなどを元にした宇宙の地図作成プロジェクト「スローン・デジタル・スカイサーベイ」のデータを利用。直径5キロメートルまでの小型の小惑星表面の波長から形成された太陽系の領域を特定する分類を行った。このサイズの小惑星は非常に多様で、乾燥したタイプから水分の多いタイプまで多様な小惑星が揃っていることがわかった。

小惑星のタイプが多様であることは、「グランド・タック・モデル」と呼ばれる太陽系初期の惑星大移動に関する理論を補強すると考えられている。このモデルでは、木星は太陽系形成の初期に、現在の火星よりもさらに太陽に近い内側に移動し、その後に現在の位置まで離れたという。このとき、太陽系の周辺部、海王星の周辺の冷たい環境で形成された小惑星を内側に引き寄せ、さらに内側の水星のあたりにあった小惑星を弾き飛ばしていったというものだ。

「アステロイドベルトは、多様な領域、背景からやってきた天体のるつぼなのです」とデメオ研究員は説明している。

こうした小惑星の移動は、地球に水をもたらしたプロセスの解明につながるとも考えられている。地球に存在する水のほとんどは、小惑星の衝突によって太古の時代にもたらされたというのが天文学者の説だ。そうであれば、惑星の移動がの影響で小惑星の衝突につながる移動が起きたのだといえる。また、地球とよく似た環境を持つ太陽系以外の天体、系外惑星でも同様のことが起きたのかという疑問が考えられるという。同じプロセスが必要だとすれば、水があり、居住可能な系外惑星は考えられているよりも稀な存在であるのかもしれないということだ。

《秋山 文野》

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