【デリーモーターショー14】スズキ セレリオのチーフエンジニアが語る、オートギアシフト誕生の経緯

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セレリオ チーフエンジニアの鈴木茂記さん
セレリオ チーフエンジニアの鈴木茂記さん 全 9 枚 拡大写真

2月5日からインドで開催中の「第12回オートエキスポ2014」(デリーモーターショー14)。『セレリオ』のプレスカンファレンス終了間際に価格がスクリーンに映し出されると、聴衆はいっせいにカメラを向け、シャッターを切った。

経済性を重視するインドの大衆にとって、たとえ魅力的な商品でも高価格すぎては興味の対象にならない。

セレリオは自動変速MTという先進的な装備を持つにもかかわらず、リーズナブルであることが注目点なのだ。スズキではこのシステムを「オートギアシフト」と名づけている。

オートギアシフトの特徴は、可能な限り簡素な構造で自動変速を実現した点にある。基本的な構造は通常のマニュアルトランスミッション(MT)と同じで、電子制御で油圧アクチュエーターを作動させ、変速するメカニズムを持つ。これはインドの大衆がオートマチック(AT)車にたいして抱いている印象を反映している。

セレリオの開発でチーフエンジニアを務めたのは、第四カーラインの鈴木茂記さん。「インドの人はクレバーで堅実。ですからATが便利なのは知っているが、MT仕様より高価格なのに燃費は悪くなるなんて…と考えるのです」とのこと。実際に、現在のインド市場全体におけるAT車の比率は、およそ5%程度にすぎないのだという。

そこで燃費を悪化させることなく利便性を高めて「燃費がいいのに価格は高くない」ということが魅力になる、という判断だったようだ。だからこそ高級モデルではなく大衆モデルに搭載し、998cc 3気筒エンジンと組み合わせたわけだ。

いっぽうオートギアシフトの先進性とは裏腹に、スタイリングはきわめてオーソドックス。これは「グローバルベーシックとして、奇をてらわず広く大衆に受け入れられるようにしました。乗用車としての本来の価値を重視して、まじめなデザインにしたんです」という理由だとか。

「キャビン前後を絞り込んだりして、スタイリッシュにするという方向もあるかもしれません。しかし、なによりまず大人5人がしっかり座れなければ意味がないのです。見た目がかっこいいだけでは、インド人には通用しません」と語る。Aセグメントのベーシックカーとしての資質を重視して、3600mmの全長で5人が座れるパッケージレイアウトを優先してデザインされているのだ。

インド生産モデルで自動変速MTを持つのはセレリオが初となる。鈴木さんは「スズキが自動変速モデルのシェア拡大をリードしていきたい」と意気込みを語ってくれた。セレリオのグローバル展開については明言を避けたが、まずはインド市場でしっかりと存在感を示すことが重要と考えている、とのことだ。

依然としてスズキがトップシェアを確保しているとはいえ、ヒュンダイやタタも成長著しく、インド市場での競争は厳しさを増している。スズキはオートギアシフトを武器に大衆車クラスでリードを拡げ、トップを走り続けようとしている。

《古庄 速人》

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