「公道を走らせたときの気持ちよさにこだわっての開発だった」(ルノー・ジャポン)というルノー『ルーテシア ルノー・スポール シャシーカップ』。その説明は、クルマが走り出した瞬間に、いわれるまでもなく理解できた。
乗り心地が非常にいい。無論、引き締まってはいるけれど、荒れた路面や段差などでもキチンと足が動いてくれる。なので高性能車にありがちな不快なショックを実感する頻度はごく低い。ロードノイズも野放しではなく、適度に抑えられているのがわかる。これでバネレートの高いほう……というのだから、より快適性に振った「シャシースポール」はどれだけスムースなのだろう?と興味が湧いた。
ハンドリングも気持ちいい。操作に対する誤差がほとんどゼロで、場面を問わず(駐車時でさえ!)、舵を切っただけクルマが反応する。
エンジンも先代の2リットルから1.6リットル(ターボ)に排気量を落としながらもパワーは同等、トルクは25N・mも増大した(200ps/24.5kgm)。このエンジンと6速デュアルクラッチ(ECD)のコンビネーションも完璧。アクセルペダルが右足と“繋がった”感覚で、加速させると、まさしくリニアなパワーが堪能できる。デュアル…ながら、ギヤが切り替わる節度感は伝えつつ空白時間が一切ない、絶妙なシフトチェンジを味わわせてくれる。さらにコンソールの“R.S. DRIVE”ボタンを切り替え「スポーツモード」にすると、アイドリングがあがり(!)よりヴィヴィッドな特性に。さらにESC等がキャンセルされる「レースモード」も選べる。
身体が接している部分のすべてを均等に受け止めてくれるシート、無理のない運転姿勢もいい。控え目ながらディテールにスパイスを効かせたルックスも本当にクールだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。