これまでシトロエン『DS3』というと、6速MT+1.6リットルターボの「スポーツ シック」が、ダントツの活きのいい走りを見せつけていた。しかし新しい「シック」は、それに見劣りしないファンな走りをモノにしている。
もちろん最大の要因は、一連のシトロエン&プジョーに搭載された新パワートレーンにある。DS3でもこのユニットは見事なマッチングを見せ、いかにも高効率な新開発1.2リットル3気筒エンジンとETG5(ATモード付き5速)が、このクルマを軽々と走らせる。自動シフトはリズミカルだし、任意でパドル操作もでき、走り込むに連れ、よりドライバーの運転に馴染んでいきそう。さらに、スポーティな仕立ての同車の足回りにも見合ったパワーフィール…そんな印象だ。
アイドリングストップ(ECOボタンでキャンセルも可能)やヒルスタートアシスト、クリープ機構も有効。しかもクルマを走らせる楽しみを素直に味わわせてくれるDS3の持ち味をいささかも損なわない。同グレード同士のカタログスペックを手元で確認すると、車重は何と90kgもの軽量化。この差は大きく、とにかく走りはこれまで以上に思いのままだ。ちなみにJC08モード燃費は49%(!)もの向上をみせ18.6km/リットルだ。
低目の運転姿勢と個性的な内・外観の魅力は相変わらず。心置きなくファンな走りに熱中できそうなクルマだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。