【ポルシェ ケイマン 試乗】乗ったら欲しくなる、さて予算は…諸星陽一

自動車 ニューモデル 新型車
ポルシェ ケイマン
ポルシェ ケイマン 全 11 枚 拡大写真

ポルシェのスポーツカーラインアップのなかで『ボクスター』の上、『911』の下に位置するのが『ケイマン』。ボクスターがオープンボディのみなのに対し、ケイマンはクローズドボディのみという構成となる。

試乗車は275馬力の2.7リットル水平対向6気筒エンジンを搭載、PDKと呼ばれる7速の2ペダルATを採用するモデルで、標準タイプで659万円のプライス。レクサスGSの中間グレードあたりと同価格となる。

低くすえられたシートに座ると、そこから見える風景は完全なるスポーツカーのもの。なだらかなカーブを持つメーターカバーの中に収められたメーターは伝統的な丸形のアナログで、センターにはスポーツ走行ではもっとも大切なタコメーターが据えられる。路面が近くに感じられ、走ろうという気持ちが高められる。

エンジンを始動するとシートの後ろで鼓動をはじめるが、その振動はまるで感じない。スムーズこのうえないスタートでクルマを走らせる。Dレンジで走っている限り、まったく気を使う必要はない。アクセルペダルを踏むだけで、スポーティな走りができる。もちろんセレクトレバーを左側に倒し、マニュアルモードを選べば、さらにスポーティな走りができる。PDKの変速時間は100分の数秒以内と、もはや人間ではかなわないクイックさ。

ハンドリングも格別。試乗時間が短く、攻め込むシチュエーションでもなかったが、動きの素直さと正確さ、そして機敏さは文句なくポルシェのもの。ゆったり走っているときは、まるで乗用車のようにイージーで乗り心地もいい。しかし、アクセルを踏み込みスピードを上げていくほどに、ハンドリングはスポーティにエキサイティングになる。だからといって乗りにくくなるわけでない。無理はさせない、クルマの状態を正確に伝えてくれるのがケイマンの走りだ。

ボクスターから911、そしてPHVスーパースポーツの『918』までラインアップするポルシェのスポーツカーのなかで、ケイマンに乗る想定ユーザーを満足させ、さらに上のモデルへと誘う味付けは絶妙。乗ったら欲しくなる、さて予算はどうしよう……だが、700万円を切る価格はフェラーリやランボルギーニとは異なり、手が届く人も意外と多い、これまた絶妙な価格帯なのだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  2. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
  3. 「強烈な需要がありそう」スバルの3列シートSUV『アセント』が今、SNSで話題に
  4. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  5. 三菱『パジェロ』7年ぶり日本復活か!? 日産 パトロール 派生モデルの可能性も
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る