GPM主衛星、軌道投入後に太陽電池パドルを展開…2カ月後に降水観測を実施

宇宙 テクノロジー
GPM主衛星(出展:JAXA)
GPM主衛星(出展:JAXA) 全 1 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米国航空宇宙局(NASA)が開発した全球降水観測計画主衛星(GPM主衛星)は、軌道投入後に太陽電池パドルを展開した。

通信の確保、姿勢制御を行った後、ミッション機器の立上げ、チェックアウトを実施して打ち上げ約2カ月後から、定常的な降水観測を開始する。

GPM主衛星が観測するデータの精度確認を行った後、準リアルタイムで、それぞれのデータ提供システムにより、世界中の利用者に提供していく予定。

GPM計画は、JAXAとNASAが進める国際共同ミッションで、GPM主衛星と複数の副衛星群により、地球全体の雨や雪を1日に複数回、観測する。

GPM主衛星は、日本時間2月28日午前3時37分、H-IIAロケット23号機で種子島宇宙センターから打ち上げられた。今回打ち上げたGPM主衛星は、副衛星群による降水観測の基準となり、精度を高める中心的な役割を担う。

GPM主衛星は、NASAのゴダード宇宙飛行センターで組み立てられ、JAXAが情報通信研究機構(NICT)と共同開発した二周波降水レーダ(DPR)、ボール・エアロスペース&テクノロジーズが開発したGPMマイクロ波放射計(GMI)の2つのミッション機器を搭載している。
DPRは、従来の衛星では観測することができなかった弱い雨から豪雨までを観測するとともに、雨滴や雪、氷粒子の大きさ、それらが雲の中でどのように分布しているのかといった降水の詳細な情報を得ることができる。また、GMIは、13の異なる周波数で降水の分布などを幅広く観測する。

GPM計画で取得されるデータによって、全球の降水を、これまでより正確に把握することができるようになり、台風の目の位置の推定、天気予報の精度向上、降水メカニズムや気候変動が降水に与える影響の解明など、地球科学研究に寄与していく。

日本では、台風や豪雨による気象災害などへの防災対策へ幅広く利用されることが期待されている。

また、アジア地域では、雨量計など、地上観測機器の整備が進んでいない地域の水災害対策に貢献を見込んでいる。米国ではGPMデータは、淡水資源や農作物収量評価のため、適時情報を提供する。

このほか、暴風雨構造や大規模な大気プロセスに対する新しい知見をもたらし、現状のハリケーンやブリザードの監視・予測能力を拡大することにも役立てていく。

《レスポンス編集部》

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