南海も「幻の五新鉄道」ツアーを企画

鉄道 企業動向
「幻の五新鉄道」こと阪本線の路盤を改築したバス専用道を走る奈良交通のバス。南海が実施する4月のツアーでは、貸切バスで専用道をたどる。
「幻の五新鉄道」こと阪本線の路盤を改築したバス専用道を走る奈良交通のバス。南海が実施する4月のツアーでは、貸切バスで専用道をたどる。 全 2 枚 拡大写真

南海電気鉄道は3月4日、「名刹の古寺と幻の五新鉄道跡、西吉野温泉を満喫」と題した日帰りツアーを4月19・20日の2回、実施すると発表した。

いわゆる五新鉄道(五新線)は、和歌山線の五条駅(奈良県五條市)から奈良県南部の山岳地帯を縦断し、紀勢本線の新宮駅(和歌山県新宮市)までを結ぶ国鉄線として計画された。1936年には阪本線として現在の五條市域となる五条~城戸~阪本間約22kmのみ着工が決定。1959年までに五条~城戸間約12kmの路盤がほぼ完成した。

しかし、過疎地帯を通ることから赤字路線になることを危惧した国鉄は、完成した路盤をバス専用道に改築して国鉄バスを走らせる案を提示。沿線自治体は国鉄の提案を受け入れようとする「バス派」と、鉄道としての開業にこだわる「鉄道派」に分かれて対立した。その一方、近畿日本鉄道(近鉄)が1960年、阪本線の運営を引き受ける構想を発表。これに対して南海電鉄も、近鉄の構想に対抗する形で阪本線乗り入れ構想を打ち出すなど、事態は混迷の度を増した。

最終的には国鉄によるバス専用道案が採用されることになり、1965年から五条~城戸間を専用道経由で結ぶ国鉄バスの運行が始まった。現在は奈良交通のバスが運行されている。

阪本線のバス専用道をたどるツアーは2013年に近鉄が2回実施しており、今年は3月22日に実施する予定だが、阪本線をめぐって近鉄と対立した南海もツアーを実施することになる。近鉄のツアーは専用道を徒歩でたどるが、南海のツアーは貸切バスで専用道を走行。五條市内の古い町並みが残る新町通や西吉野温泉なども訪れる。

旅行代金は6300円で大人のみ20人を募集。高野線の橋本駅集合・解散となる。申し込みは南海ウェブサイトで受け付けている。

《草町義和》

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