国立天文台は、アルマ望遠鏡を使った観測で、がか座ベータ星を取り巻く、固体微粒子の円盤の中に一酸化炭素ガスのかたまりが発見されたと発表した。
がか座ベータ星は、以前から非常に若い惑星系の典型例として研究者の注目を集めてきた。この星から12億kmのところには惑星(がか座ベータ星b)が一つ回っていることが判明しており、また固体微粒子でできた円盤構造が初めて見つかった星の一つでもある。
アルマ望遠鏡による新しい観測により、この円盤が一酸化炭素のガスで満たされていることが明らかになった。生まれたばかりの星の周囲には、ガスや固体微粒子からなる円盤(原始惑星系円盤)が作られる。この円盤の中で数百万年以上かけて惑星が作られ、ガスや微粒子は次第に少なくなっていく。
がか座ベータ星は、比較的進化の進んだ段階にあると考えられており、これまで円盤の中のガスは散逸してしまって微粒子しか存在しないと考えられていたが、今回、高い感度を持つアルマ望遠鏡により、円盤内に一酸化炭素が初めて検出された。
がか座ベータ星で一酸化炭素が検出されたことは、この惑星系が将来生命を育む場所になる可能性があることを示している。一酸化炭素ガスの供給源と考えられる彗星には、水の氷も含まれていると見られる。水を大量に含んだ、おびただしい数の彗星が惑星に衝突すれば、その惑星に生命を育む元となる水がもたらされると考えられる。
今回の発見は、3月6日発行の科学誌「サイエンス」に掲載された。