フォード由来だったこれまでに代え、ボルボ内製の新開発というエンジン。ディーゼルエンジン(日本未導入)とは25%が共通部品、50%は類似部品とするなど、アーキテクチャーも合理化がすすむ。それらは「ハイブリッドも視野にいれたもの」(ボルボ)だそう。
さらに直噴システムはデンソー、組み合わせられるトルコン式8速ATはアイシンAW製とのこと。「T5」ながら(5気筒ターボではなくて)それは性能のヒエラルキーに基づく新しい呼称で、実態は“4気筒”の2リットルターボ。245ps/35.7kgmの性能で、燃費はJC08モード14.4km/リットルとなっている。
ごくごく短時間の試乗ながら、確かなパフォーマンスは実感できた。とくに実感させられたのは、どのエンジン回転域でも扱いやすい特性に仕上げられているということ。なので街中でも山道でも、思い通りにクルマを走らせられる。「ECO+」ボタンでモードを切り替え効率的とされる走りも試してみたが、差は実感するも不満のない走りをみせる。それと、ここ最近のシュン!と回るフォード由来のユニットに対し、エンジンを回した際にどこか微かにトロン!まろやかな“舌触り”があるということ。あくまで個人的な見解だが、それが往年のボルボ車のエンジンフィールに繋がって思えたことを付記しておこう。
R-DESIGN自体は昨年中にすでに試乗済みのモデル。いたずらにハード志向ではなく、軽やかな走りと良好な乗り心地をバランスさせたキャラクターは変わらない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。