東大山田教授らの研究グループなど、充電時間が3分の1以下になるリチウムイオン電池電解液を開発

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濃い液体が秘める新機能を発見:化学システム工学専攻 山田裕貴助教、山田淳夫教授らのグループ
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東京大学大学院工学系研究科の山田裕貴助教と山田淳夫教授のグループは、京都大学の袖山慶太郎特定研究員、物質・材料研究機構の館山佳尚グループリーダーらとの共同研究で、リチウムイオン電池の急速充電、高電圧作動を可能にする電解液を開発した。

新開発電解液は、従来の4倍以上となる極めて高い濃度のリチウムイオンを含む「濃い液体」で、既存の電解液にはない「高速反応」と「高い分解耐性」という新しい機能を持つ。

今回の研究で開発した電解液は、既存材料の性能を大きく上回る新世代電解液としてリチウムイオン電池に応用可能で、従来の3分の1以下の時間で急速充電が可能となる。

加えて、この新規電解液は5V以上の電圧をかけても安定しており、従来、電解液の耐電圧の問題から4Vに制限されていたリチウムイオン電池の電圧を大幅に向上できる可能性もある。

この電解液の機能は、特殊な溶液構造によるものであることを理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を用いたシミュレーションにより明らかになった。リチウムイオンとアニオン(マイナスイオン)が連続的に繋がり、液体状態を保持するという、通常の「薄い溶液」では起こりえない特殊な溶液構造を持っていることを確認、その特殊構造が高い分解耐性を発現する電子構造を生み出していることを突き止めた。このような特殊構造、電子状態を持つ超高濃度電解液は、有機電解液、イオン液体、ポリマー電解質など、既存材料の範疇に入らない新世代の電解液と位置づけている。

今回の研究で、新世代電解液系は、従来型電解液の主因であった二次電池の性能限界が撤廃され、電解液主導による新世代リチウムイオン電池の誕生が期待される。具体的には、充電時間、作動電圧における限界点の突破が見込まれ、短時間での急速充電が可能な5V級の高電圧リチウムイオン電池の開発が加速する。

今後、実用スケールの二次電池における評価を実施、実用化を加速させていくとともに、さらなる高性能二次電池の実現のため、より高機能な電解液材料を探索していく予定。

《レスポンス編集部》

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