三菱重工業は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から新型基幹ロケットの開発と打上げ輸送サービスを担うプライムコントラクターに選定された。
新型基幹ロケットは、現在のH-IIA、H-IIBロケットを刷新し、2020年代以降の宇宙輸送を担うロケット。今回の選定を受け、三菱重工は2014年度から開発に着手し、2020年の試験打上げを目指す。
政府は2013年6月、新型基幹ロケットの開発方針を決定し、これに沿ってJAXAが、プライムコントラクターを公募した。民間の技術力をフル活用して国際競争力のある新たな基幹ロケットを開発するのが狙い。三菱重工は数多くの最新技術を導入し、低価格と高い信頼性を両立することで、衛星打上げ市場への本格参入を目指す。
具体的には、日本が多くの実績を持つ、液体水素を燃料とするロケットエンジンに一層磨きをかけた液体ロケットを全シリーズのコアとすることで、製造や運用の効率化を図る。また、固体ロケットを補助ブースターとして導入し、その本数の増減により幅広い打上げ能力に対応可能なロケットの開発を目指す。
三菱重工は、JAXAや他の民間企業と協力しながら、新型基幹ロケットの開発・製造から完成後の打上げサービスまでを一貫して担当する。
三菱重工は、日本の基幹ロケット開発で主要な役割を果たしてきた。JAXAからの技術移転を受け、H-IIAは13号機(2007年9月打上げ)から、H-IIBは4号機(2013年8月打上げ)から、三菱重工が製造から打上げまで一貫して衛星打上げを担う体制となっている。
これに続いて今回、新たな基幹ロケットの開発と打上げ輸送サービスを担うプライムコントラクターに選ばれた。
同社は今回の選定結果を弾みに、日本の自律的な宇宙活動を支える産業基盤の確立により大きな役割を果たすとともに、国内外の衛星打上げ輸送サービス市場で高いプレゼンスの確立を目指すとしている。