走行中の快適性アップに効果、「アクティブ・ノイズ・コントロール」を日産 GT-Rで体感

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2014年型「GT-R」に搭載されたBose Audioのシステム構成図
2014年型「GT-R」に搭載されたBose Audioのシステム構成図 全 9 枚 拡大写真

ボーズが手掛ける車載用音響システムと言えば、OEMのカーオーディオシステムが思い起こされる。しかし、音響技術は何も音楽を楽しむためだけに活かされるわけではない。今回は同社のノイズキャンセリング技術を活かして静粛性高めた日産『GT-R』の例を紹介する。

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かつては『スカイライン』の名を冠した日産のスポーツモデルの象徴でもあったGT-R。その後、スカイラインから独立し、『フェアレディZ』と共に日産スポーツモデルの両翼を担う立場となった。そんな中で迎えた2014年型「GT-R」は、サスペンションやタイヤ、そして車内騒音についてもより快適性を追求する方へとシフトして再登場した。その背景として、2014年型では新たに「NISMO」仕様をラインナップに加え、走りを徹底追求できるグレードが別に用意されたことも大きい。しかし、GT-Rがより快適な環境で走れるようになることで、ファンの裾野を広げる効果も期待できるのも確かだろう。

そんな中、快適性向上の一端を担ったのがボーズ・オートモーティブ社が開発した「Engine Harmonic Cancellation(EHC)」に基づいた「アクティブ・ノイズ・コントロール」である。一線級のスポーツカーであるGT-Rは本来、決して静かなクルマではない。以前乗った中期型のGT-Rは、メカニカルなノイズの中に変速直後の低回転域で発生するエンジンとは別の唸り音が車内に籠もっていた。回転が上がればこれは解消されていくが、低回転域を多用する街乗りではこの唸り音が結構気になる存在だった。

そうした経験の下、2014年型に乗車してみると、昨年モデルまでにあった2000-2500rpm付近で発生していた唸り音がすっかり消えているのに気付く。そればかりかメカニカルな音がずいぶんとクリアに聞こえ、GT-Rのエンジン音がこれまでに以上にストレートに聞こえるようになっていたのだ。日産によれば、2014年型になって遮音材も増やしたと言うことだが、唸り音は低域周波数帯で発生するからそう簡単に取り除けるものではない。実は、その除去に役立てられているのが、冒頭に紹介したボーズの「アクティブ・ノイズ・コントロール」なのだ。

その仕組みは前後席の天井に仕組まれたマイクが音を検知し、唸り音となっている成分に対して逆位相の音をカーオーディオのスピーカーから出すというもの。ただ、そのまま逆位相の音を出してしまえば、肝心のエンジン音までも消してしまいかねない。このシステムでは、マイクで収集したノイズ成分から唸り音だけを絞り込み、エンジン音やミッション等の音はそのまま残す対応をしたという。つまり、GT-Rに搭載されたアクティブ・ノイズ・コントロールは、クルマを走らせるのに必要なノイズは残しつつ、不快な唸り音だけを取り除くといった作業を自動的に行うことができているというわけだ。

とはいえ、電気的にノイズを打ち消すことに否定的な意見もあるかもしれない。しかし、考えてみて欲しい。ノイズを消したいと思っても、防振材や遮音材を増やす程度で済めばいいが、状況によってボディ構造までもいじらないと対策できないこともあり得る。となれば、車体の補強などによって重量増は余儀なくされ、もしかしたら、それが走りのスポーツ性に大きな影響を与えることになるかもしれない。そればかりか、重量増は燃費の悪化を招き、環境にとっても相応しくないクルマが出来上がる可能性すらあるのだ。

GT-Rに搭載のアクティブ・ノイズ・コントロールは、この点で重量増を最小限にとどめ、それでいて不要なエンジンノイズを打ち消すシステムとして採用されている。結果としてコスト削減にもつながりユーザーの疲労負担も少なくなる、まさに一挙両得のノイズコントロールだと言っていいだろう。

一方で、この技術はあくまでノイズに逆位相の音を与えて対処する「EHC」に基づいたもの。ボーズ・オートモーティブ社は、この技術にとどまらず、「音を加える」ことでエンジンや排気音などの自在に作り出すことも可能になる「Engine Harmonic Enhancement(EHE)」も既に実車へ搭載済みだ。機会を見て、次はこのシステムを採用する新型スカイラインでの効果もレポートしたいと思う。

《会田肇》

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